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＊匠海 編 ページ17
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ﾎﾞｰﾝ…ﾎﾞｰﾝ…ﾎﾞｰﾝ…
匠海「プロレスでは悪役の事をヒールなんて言うけれど…あれは足の裏のこと。つまりは底辺というスラングなんだ。
悲しいよね…そんなにかかとが忌み嫌われるなんて…
かかとはよい…実によい…
漢字で書いても、平仮名で書いても、カタカナで書いても、いや、ローマ字で書いても…
誰もわかっていない。体重の支えの役割になってもない、全身のなかで最も厚い堅い皮膚で覆われてる。
そして、それに乗るのは体重だけではない。人の魅力や苦労、喜び、哀しみ…人をどれだけ愛してきたか。
人生の全てをのしかかる場所。それがかかとだ。
勇気を一歩踏み出した時に刻まれる足は…
あるいは恐怖を感じて一歩戻した時に刻まれる足は…
寒さの中でひび割れていくかかと…歩き続け靴の摩擦と硬化していくかかと…
同じかかとはふたつとしかない。
人の数だけ、かかとはある。いや、同じ人間であっても、右と左とでまた違う。
そして、それはどんなに着飾ってもどんなに化粧しても、決して誤魔化されるものではない。
かかとだけは嘘をつかない。
嘘、偽りのない、愛を語ってくれる
かかとこそ人生を映し出してくれる鏡だ。
おわかりですか？」
・
「僕はね、理想のかかとと出逢うために世界中を探し回っているんだ。
父が愛の代わりに残していった財力でね。」
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作者名：柚羽愛 | 作成日時：2018年7月15日 4時
