【d!】壊古の城【t.n】 (ページ2)

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弐ページ2

「ぶ、た」「ぷぎ！」

困惑したように呟いたAへ応えるようにもう一度鳴いたぶた。

「今の聞いてたの？」

遊具の冷たい壁に背中を預けて、自嘲気味に乾いた笑いをひとつ、吐きだしたAは改めてぶたに話しかけるようにもう一度繰り返した。

「____自分じゃ逃げられないから、誰かが助けに来てくれるのを待ってるんだ」

最後にそっと付け足すと、「ごめんね、変なこと言っちゃって」と言って立ち上がったA。
その華奢な体を大きな男性の体が後ろから引き留めた。

「どちらさまですか」
「お話を聞かせていただいた、ぶたです」

Aはゆるゆると振り向く。視界の端に見えるやけに大きい赤いマフラー。

「こんばんは、お嬢さん」

関西の方言を使う彼は確かにそこにいた。
けれどそこに至るまで足音もなにもしなかったことや、つい先程までそこにいたぶたがいなくなってることから、
恐らく彼が言っているのは残念ながら本当のことなのだろう、と。

「君の話を聞いて、丁度いい人間が見つかったと思ったんや
俺と一緒に来てくれん？」

そうして差しだされたのは赤色の首輪
Aには、それが酷く魅力的に映ってしまった。