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舜太「これからどうすればええんやろ……」
まだ高校生の彼に、俺は何て言ってやればいいのか、何も思いつかない。
ただ黙って、同じように外の光景をぼんやりと見つめることしかできないのだ。
情けない、とすら、既に思わなくなってきたかもしれない。
俺の心も、とうとう何もかもに諦めてしまっていたのかもしれない。
太智「僕は……映画観てきます……」
舜太「え……？」
太智「どうせ死ぬんなら……やりたいことやって死にたいから……」
そして、太智はシアタールームに行ってしまった。
舜太「やりたいことか……。腹いっぱい焼肉食べたかったなぁ……。なんて……言ってみただけです……」
勇斗「舜太……」
舜太「まぁ俺は意味ないけど、勉強でもしてこよかなぁ……」
寂し気にそうつぶやく舜太は、初めて顔を見せた売店の中へ行ってしまい、その中に閉じこもった。
きっと、模試の勉強だなんて嘘だったかもしれない。
気持ちの整理も付かなくて、死の恐怖から身を守るため、あの中に閉じこもってしまったのかもしれない。
そんなこと、俺が聞けるわけもないし、そんな彼の気持ちを晴らすことすらできないのだけど。
残された俺とA。
いつ死ぬともわからないこの状況で、俺達には一体何ができるのだろう。
何が、残されているのだろう。
俺の横で、何も言わずに寄り添うA。
その横顔。
いずれこの横顔も、見れなくなってしまうのだろうか。
そんなの
勇斗「やだよ……」
気が付けば俺は自然にAの肩を抱き寄せて、そして、涙が流れ落ちていた。
涙があふれて、止まらない。
勇斗「やだよ……。A……」
A「勇斗……？何で泣いてるの……？」
勇斗「ごめん……」
俺が先に泣くだなんて、みっともなくて、情けないのはわかっているけれど。
何でだろうな。
どうしても、涙が止まってくれないんだ。
死ぬのが怖いからじゃない。
Aを失うのが怖い。
俺が先に死ぬとしても、Aが先に死ぬとしても、俺にはお前と一緒にいれなくなるなんて、耐えられない。
A「大丈夫だよ……。きっと、何か助かる方法が見つかるから……。ね？そうでしょ？」
Aは、まだ諦めてないのか？
この世界で、助かることをまだ信じてるのか？
A「私は……これからも勇斗と一緒にいたいもん……」
勇斗「A……」
そうだ。
俺だって、この先、何年、何十年経っても、お前と一緒にいたい。
それに、俺は、お前に伝えたいことがあるんだ……
―
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年9月6日 17時
