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外はすでに真っ暗。
月明かりもなく、何も見えない。
懐中電灯の灯りだけを頼りに、俺達はロビーの床に力なく座り込んだ。
こうしている間にも、目に見えないバクテリアが俺達の体を分解し始めているかもしれない。
そう思うと、恐怖で身震いが走る。
それに、目の前に広がるあの砂は、誰ともわからない人々の亡骸と言うのなら、それもまた恐ろしい話だ。
俺達も、いずれあんな風に……。
怖い。
死ぬのが怖い。
身体の震えが、止まらない。
隣では、夏生さんのすすり泣く声が聞こえる。
仁人も、舜太も、太智も、青ざめた顔でどこを見るでもなく呆然と虚空を見つめていた。
そして、Aも、体を震わせて、今にも泣きそうな表情を浮かべていた。
俺は、こいつの為に何をしてやれるんだ。
今の俺に、何ができる。
どうすればいい。
何をすれば、いいんだ……。
必死に考えても、何もわからない。
ただ恐怖に支配され、震えることしかできない。
結局、この日は誰も眠ることなく、朝を迎えてしまった。
外から差し込むわずかな日の光。
希望ともとれたこの日の光でさえ、今の俺達には何の意味もなさない。
けど、こんなことでは駄目だ。
ここでこんな風に気落ちしていたって、何がどうなるわけでもない。
何か、気を紛らわせなければ。
勇斗「飯にしよう……。皆、腹減ってるだろ……」
舜太「そ、そうですね……。僕、取ってきますよ……」
A「あ、私も、行くね……」
舜太とAは、そう言って2階に今日の分の食糧を取りに行った。
何か口にすれば、多少はこの恐怖がまぎれるだろうか。
まぁ、何もせずにじっとしているよりは、幾分かマシになるはずだ。
そして、しばらく彼らが戻ってくるのを黙って待っていた。
しかし、俺達を待っていたのは、食糧ではなく、慌ただしく駆け下りてくる舜太の姿だった。
舜太「た、大変です！！皆さん、ちょっと来てください！！」
慌てる舜太に引き連れられ、俺達も2階へと駆け上がる。
そして、そこで俺達を待っていたのは、何とも信じられないような光景だった。
ドーナツやホットドッグをしまっていた冷蔵庫が、なんと半分近くが砂のようにさらさらと崩れ落ち、中の食糧、それにいざという時のポップコーンの種も、ペットボトルの飲み物も全部砂に変わってしまっていたのだ。
太智「そ、そんな……。僕らの、食べ物が……」
夏生「あ、あ……。私達も……もうすぐ……こんな風に……」
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年9月6日 17時
