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2023年初頭。
インド洋の無人島に異変があるとの報道が入った。
上空を飛行中だった地元メディアのヘリコプターが発見したそうで、去年度に撮影した空中写真と、本年度に撮った写真が明らかに違うのだと言う。
去年度の写真には、緑豊かな森が広がる光景が映し出されていたが、今年度に撮影された写真は、木々などなく、まるで砂漠の様に干上がった何もない更地が映っていたのだ。
この件を受けて、地元政府が調査を行ったそうだが、確かにそこには森はなく、何もない砂ばかりだったという。
どこかの密輸組織が秘密裏に木々を伐採した可能性有や、自然発火による森林消滅等と、当時のニュースでは報道されていたが、その実、正式な要因は判明できず。
何より、伐採、および火災で燃え尽きたのだとしても、木の根や、燃えカス等、それらの痕跡すら何もなかったということだ。
同年。
日本でも事件は起きた。
ある培養施設で、実験棟が一夜にして崩壊したのだ。
幸いその時間帯、誰も中にいなかったようだが、残された防犯カメラには、衝撃の光景が映っていた。
深夜2時頃、突然実験棟の壁に亀裂が入り、そこが見る見るうちに塵のように細かい粒に分解し、まるで砂でできた壁が崩れるかのように壁も柱も天井も、さらさらと崩壊していったのだ。
崩壊した実験棟の跡地には、その時できたと思われる砂の山が積みあがっていたという。
この事件は、瞬く間に日本中を震撼させた。
見出しはこうだ。
『バクテリア培養施設、謎の砂化』
そんなはずはない。
未来の希望が、こんなことになるはずはない。
けれど、崩壊した実験棟から採取された砂の中には、あのバクテリアが多量に潜んでいた。
なんということか、私達が発見したあのバクテリアは、核物質、だけでなく、ありとあらゆる物質を分解し、砂のような小さな粒にまで分解してしまったのだ。
核も、鉄も、コンクリートも、木も。
何もかもを分解するバクテリア。
2021年に起こった家屋崩壊も、私たちが前年に実験のため持ち込んだのが、フィンランドだった。
まさか、私たちがあのバクテリアをまき散らしてしまったのだろうか。
けれども、悲劇はさらに加速する。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年9月6日 17時
