【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 3 (ページ34)

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駆ける俺達の耳に、何やら地響きのようなものが聞こえてきたのだ。

勇斗「今度は何だ？！」

懐中電灯でその音の方を照らしてみる。
すると、なんと天井がひび割れ、そこがどんどんと砂になって崩れていくのが見えるのだ。
さらさらと大量に降り注ぐ砂の雨。
このままでは、ここは崩れ落ちて俺達は砂の中に生き埋めだ。

勇斗「やばい……！」

とにかくここから早く逃げださねば。
けれども、その間にも壁も柱もどんどん砂になって崩れ落ちる。
1階を駆け上がり、2階の階段に手をかける。
次の瞬間、手すりが全部砂になって俺の手の中から零れ落ちていく。
階段も端っこから徐々に砂に変わってばらばらと下に落ちていくのだ。
しかも、上からも砂は絶えず降り注ぎ、服の隙間に入り込むし、目や口にも砂が混ざりこみ、じゃりじゃりする。
けれど、俺もAもそんなのお構いなしに、とにかく上を目指して走った。
踏みつける床はすでに砂のように柔らかく、すぐに足を盗られてしまう。
それでもどうにか階段を駆け上がり、俺達が入ってきた入り口が見えてきた。
しかしながら、すぐ後ろでは砂になって崩れていく建物の轟音が響き、天井もほとんど崩壊して、砂の山が雪崩のように押し寄せてくる。
それらをかいくぐりながら、俺は必死にAを連れて走った。

俺はどうなってもいいから、頼む。
Aだけでも、どうにか外に出してくれ……。

この世界にも神様がいるのなら、どうか俺の願いを聞いてくれ！

そう切に願い、俺はひたすらに、無我夢中に走っていた。

そして、全身に降り注ぐ砂を浴びながら、俺の体は入り口を通り抜け、この建物の外に転がるようにダイブして、砂の上に倒れこんでいた。