4 ページ4
結局時間の話か……。
俺は少しばかり疲労を感じてため息をつくと、映画館の入り口から空を見上げた。
ここから見える曇天。
身体を通り抜ける冷たい風を感じるけれど、確かに空の雲はピクリとも動かない。
まるで、この空が一枚の紙でできていて、それをぺたりと張り付けただけのような、そんな何の変化もない空が頭上に広がっていた。
勇斗「どうなってんだよ……」
A「これが、柔太朗君が言ってたことに繋がるのかな？」
勇斗「わかんねぇ……」
けれど、ここから見える景色も、空も、果ては時間さえも、動いている様には見えない。
それがつまりどういう意味を成しているのか、俺には全然わからない。
でも、きっとこれが俺達の命運に掛かっているはずだ。
何で周りがこんな砂漠になてしまったのかも、これが関係しているはずだ。
勇斗「駄目だ……。
なんか書くもの……。
書いてちょっとずつまとめるか……」
舜太「じゃあ、倉庫に行きましょう。確かホワイトボードがありますから」
とにかく、今わかってることを箇条書きでいいから書き出そう。
キーワードをちりばめて、それを組み合わせて、何かそれっぽい答えが見つかるかもしれない。
箇条書きにすると、初めに、俺達はこの映画館で普通に映画を観ていた。
そして一旦映画が終わり、外に出ようとした。
けれど、気が付けば、外は何もない砂漠に様変わりしていた。
何故砂漠になってしまったのか。
ここが最大の謎だ。
それを紐解くキーワード。
動かない空。
進んでいない時間。
それに、電気も水も来ていないのに、なぜか動く映写機。
スクリーンに映るのは、俺達が見ていたあの映画。
けれど、その内容はどうやら少しずつ変化している様だ。
その変化とは、俺達が見て経験したものの可能性がある。
現に、初めは映っていなかった地割れの映像が、俺達が砂漠で見つけたとたん流れ始めたのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：milkssss | 作成日時：2020年9月6日 17時
