【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 3 (ページ30)

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そして、互いに体を密着させながら、手を強く握り合い、俺達は崩れ落ちた廃ビルの入り口から、中に侵入していった。
ジャリ、ジャリ、と歩くたびに砂や瓦礫の破片の鳴る音が、静かな建物内に響く。
それ以外は何も聞こえない、不気味なほど静かな場所だ。
懐中電灯が照らし出す内装は、ほとんど朽ち果てて、砂みたいになっている。
何でこんなにボロボロに朽ち果ててしまったんだろう。
それにしても、ここは何の建物だったのだろうか。
2階建てぐらいの商業ビルのように見えたが、フロアの案内板も、砂まみれでなんて書いてあるのかわからない。
手で擦ってみても、ばらばらと塵になってしまって、読むどころではない。
部屋はいくつかあるようだが、そのほとんどが崩れ落ちてしまって、中に入れそうにない。
しかしながら、2階部分も崩れ落ちていて、壁も天井も崩れ去り、何もないのは外で見て知っている。
結局、何もないのだろうか。
そう思いながら廊下と思しき場所を進んでいると、奥に階段を発見した。

A「ねえ見て！この階段、下り側もある……」

外からはわからなかったが、どうやらこの建物には地下があるらしい。
上に上がる階段と下る階段の両方が備え付けられている。
けれど、俺は階段の壁にある文字を見て、理解した。

勇斗「おいこれ見てみろ。ここ、3階だ……」

壁に薄っすらと見える、3Fの文字。
どうやら、ここは本来3階だったようだ。
砂に埋もれて、3階より下は見えなくなっていたんだ。
つまり、この下にあと2階と1階が存在することになる。
こんなに朽ち果てて、そんなに砂に埋まってしまうなんて、こうなってから、相当長い年月が経っているようにも見える。
ここが映画の中、だとしたならば、一体ここで何があったんだ……。

A「降りてみよう……」

砂に埋もれた部分へと下るにつれ、懐中電灯で照らした場所しか見えないほど真っ暗。
空気も悪くなってきて、息苦しくて埃っぽい。
奥に進むにつれ、息苦しさは増す一方。
お願いだから何か在ってくれ。
そう思わずにはいられない。
とにかく、入れそうな部屋に片っ端から入っていることにしよう。