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柔太朗「これを、僕に？」
勇斗「そう言ってんじゃん。何か食わないと、元気でないぞ」
柔太朗「……。ありがとう。でも、僕は何も食べなくても大丈夫。それは明日、君がしっかり食べるといいよ。佐野勇斗君」
勇斗「遠慮すんなって……。それに、俺の事は勇斗でいいよ」
柔太朗「君は……勇斗君は優しいんだね。でも、本当に大丈夫さ。その気持ちだけ受け取っておくよ」
勇斗「いや、でも―
柔太朗「これ以上はよそう。彼が起きちゃうよ」
指差す先には、身体を丸くして、猫みたいに眠っている太智の姿。
確かに、あいつを起こすのは可哀想だけど。
本当にこいつ、何も食べなくても平気なのか？
俺達と同じように、一昨日からこの状況に身を置いているとすると、3日程何も食べてないことになるが。
柔太朗「それより、そんなとこに突っ立ってないで、ここに座りなよ。
そして、君ももう一度この映画を観てみるといい。
何か新しい発見があるかもしれないよ？
映画っていうのは何度も見なおして、色んな発見を楽しむのも醍醐味なんだから」
勇斗「新しい発見……？」
柔太朗の隣に腰かけ、眩く光るスクリーンを見つめる。
けれども、こんな映像のどこに新しい発見があると言うんだ。
スクリーンに映し出されるのは、広大な砂漠。
この映画館、そしてあの地割れ。
延々と同じ映像の繰り返し。
こんなの、映画でも何でもない。
ただの風景画を適当に切り貼りして流しているだけじゃないか。
そう思ったんだけど、俺は一瞬、何か妙な違和感に気が付いた。
勇斗「あれ……？今の……なんだ……？」
もう一度スクリーンに目を凝らす。
繰り返される映像。
そして、またその映像が流れ始めた。
勇斗「っ！」
俺は目を疑った。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年9月6日 17時
