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勇斗「なぁ、俺達にもっと手を貸してくれよ！このままじゃお前だってどうなるかわからないんだぞ？！」
柔太朗「そうだね。けれど、どうなっても、僕はそれを受け入れる覚悟はできている。
あとは、君たち次第さ。
つらいとは思うけれど、頑張って」
勇斗「……」
駄目だ。
やっぱりこいつとは話がかみ合わない。
柔太朗「さて、僕はそろそろ映画の続きを観るとしよう。
君たちも一緒に観るかい？」
勇斗「いや……。俺はいい……」
舜太「俺もええかな……」
太智「僕は一緒に観るよ……。柔太朗君と……」
柔太朗「なら一緒に観よう。今いいとこだから」
スクリーンに映るのは、代わり映えのしない砂漠の映像が流れるばかり。
何がいいとこなのか、俺にはもう理解する気力もない。
勇斗「Aたちのとこに行くか……」
舜太「はい……」
柔太朗「君たちも観たくなったらいつでもおいでよ。映画は逃げないからね」
スクリーンルームを後にする俺と舜太の背中に、そんな言葉が投げかけられた。
けれど、俺達はその言葉に振り返ることなく、シアタールームを後にするのだった。
一方のロビーでは、Aと夏生さんが何やら話している。
そしてこちらに気が付くと、Aが手を振っているのが見えた。
A「勇斗！外見てみて。日がだいぶ陰ってきてる。
このままじゃ、夜になって真っ暗になっちゃうよ」
勇斗「あ、そっか……」
これまでは空も太陽もぴたりと静止した状態で、ぼんやりとした明るさしかなかったけれど、今は空も太陽も時間によって変化して、今はすでに夕暮れの様子。
あと1時間もしないうちに日は沈んでやがて夜が来るだろう。
そうなれば、こんな雲が多い空の下じゃ、月明かりもなく真っ暗になってしまう。
かといって、映画館の電気はつかない。
点いているとしたら、あの映写機だけ。
映画館の事務所に、懐中電灯や蝋燭のたくわえがいくらかあるけれど、それを使うしか今は灯りを調達できそうにない。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年9月6日 17時
