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ここから見える外の景色、君たちにはどう見えているかな？
突如として俺達の前に現れた山中柔太朗。
彼は助言という名目で、俺達にそう言った。
勇斗「どう見えるって言われてもなぁ……」
映画館のロビーから見えるのは、薄暗い砂漠。
本来ならば、雑居ビルが立ち並ぶ裏通りだったはずなのに。
今や地平線の向こうまで見える見晴らしの良い荒野が広がるばかりだ。
舜太「ただの砂漠やんなぁ……」
夏生「そうよね……。本当なら向こうに駅があって、こっちに百貨店があって、あそこには確か美味しいクレープ屋さんがあって……。
あぁ……。あそこのタピオカミルクティ美味しかったなぁ……。また行きたいなぁ……」
仁人「もう無理だって……。皆、死んだんだ……。
生きてるのは俺達だけなんだ……」
勇斗「おい仁人……。頼むからそういうこと言うのは止めてくれ……」
仁人「はぁ？見てみろよ。こんな場所で誰が生きてるって言うんだよ。
車で散々走っても、何もない砂ばっかりだったじゃねぇか……。
まさか、ここが本当に映画の中の世界って思ってんじゃねぇだろうな」
勇斗「それは……。正直俺もまだ半分半分だ……。
そんなのありえないって思ってる俺もいるし、もしかしたらそうなのかもって思ってる俺もいる……。
まだ、決め手になるものが何もないんだ……。
だからそれまでは、死んだとか無理だとか、そういうこと言うの、やめてくれ……」
仁人「はぁ……。イライラするな……」
夏生「仁人、そういうこと言わないでよ……。
そんなことばっかり言ってたら、何も進まないじゃない……」
仁人「そういうお前はどうなんだよ？何でここはこんな砂漠になっちまったんだよ」
夏生「うーん……。わかんない……」
仁人「なら余計な口出しすんなよ……」
夏生「ごめん……」
これじゃあいつまでたっても同じことの繰り返しだ。
同じことで言い争って、何も進まずに終わってしまう。
それこそ時間と労力の無駄といえる。
早いとこ、柔太朗の言っていた言葉の意味を解明しなければ。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年9月6日 17時
