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勇斗「ごめんな、A……。お前に、こんな思いさせるなんて……」
A「勇斗のせいじゃないよ……。だから、謝らないで……？私は本当大丈夫だから……」
仁人「お前ら、そいつに騙されてんだよ……。
そいつの言うこと聞いてたって、助かるわけないだろ！！
俺をこんな風にしやがって、今に見てろよ……」
ビニール紐で体をぐるぐる巻きにされ、柱に結び付けられた彼は、そう吐き捨て、俺の事をにらんでいた。
それを、憐みの表情を浮かべて夏生さんが見つめている。
けれど、ここで仁人を解放してしまえば、また暴れるかもしれないし、特に女性陣はまたいつあんな風に襲われるかもわからない。
だから、しばらくはこいつをこのままにしておく方が良いと思うのだが。
勇斗「ごめん、夏生さん……。しばらく、こいつをこのまま……」
夏生「いいですよ……。仕方ないもん……。ちょっとこのまま反省させときましょ……」
そう言って、彼女は真っ先に倉庫から出て行ってしまった。
人一人をこんな風に拘束して、罪悪感がないわけでもないが、こいつがしたことを考えれば、致し方ない。
夏生さんに続き、俺達も仁人を一人残して倉庫から出ることにした。
相変わらず、ロビーから見える外の景色は殺風景な砂漠が広がる。
この景色を見ていたら、本当にこの先、生きていけるのか、俺達はどうなってしまうのか。
いらぬ不安ばかりが募っていく。
俺の言った生活で、本当に俺達はやっていけるのか。
確かに、仁人はあながち間違ったことを言っていたわけじゃないのかもしれない。
俺が決めたことが、全部正しいわけじゃないことも分かってる。
彼の言った通り、俺はこんな状況下で、ただの支配者になりたかっただけなのだろうか。
皆を思い通りに動かして、悦に入りたかっただけなのだろうか。
食べ物が見つかって、少し希望が見えてきた気がしたのに、俺は、そんな不安と後味の悪い思いに、少しばかり苛まれてしまったのだった。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年8月11日 17時
