【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 2 (ページ43)

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大きく目を見開き、Aは俺の背後を指差した。
まさか、そんなはずはない。
いや、そのまさかなのか。
でも、確かにさっき、あのシアタールームには誰もいなかったはずだ。
Aが指差す先に、誰かがいるわけない。
いるはずないんだ。
けれど、じゃあ彼女らは一体今、何を見て、何にそんなに怯えて、何を指差しているというのだ。
確かめなきゃ。
俺も振り返って、Aが指差す何かをこの目に収めなきゃ。

そして、俺は再び、恐怖に震えながら、自分の後ろを振り返った。

勇斗「っ！！」

そこで俺の目に映ったもの。
それは、まさしく

"白い幽霊"

そういうより他なかった。

勇斗「な、何で……」

真っ白の服を身に纏い、その白い幽霊は、シアタールームの客席の丁度ど真ん中の席に腰かけ、スクリーンに映る砂漠の映像を見つめていたのだ。

太智「誰……？まさか、本当に……幽霊……？」

舜太「さっき見たんと同じやつや……」

夏生「や、やっぱりいたんだ……」

仁人「見間違いじゃ、なかったんだ……」

A「嘘でしょ……」

勇斗「そ、そんなはず……」

幽霊だなんて、そんなもの本当にいるものか。
頭でそう考えていても、実際に、さっきまであそこにいなかったあの白い何かは確かにそこにいる。
客席に座り、映画を見ている。
そしてそれを、ここにいる俺たち全員が目撃しているのだ。
実体があろうがなかろうが、あれは確かにあそこに存在している。