【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 2 (ページ5)

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どうやら、仁人はまだやり足りないらしい。
更にもう一発、俺は顔面に強い衝撃を感じた。
口の中に鉄の味が広がり、溢れ出していく。

夏生「仁人、お願い！もうやめてってば！」

仁人「うるせえよ！お前は黙っとけ！俺はこいつみたいな奴の言いなりになんてならねえ！！
こんな訳の分かんねえ場所で、誰かの言いなりなんてまっぴらだ……！」

そう言いながら、収まらない怒りと共に俺をさらに殴り付けようとする仁人。
けれど、彼が俺を殴ることはもうなかった。
夏生さんだけでなく、舜太も倉庫の中に駆けつけてくれて、仁人の体を抑えつけているのが見えた。

仁人「放せ！！」

舜太「おとなしくしてください！！」

そして、仁人は舜太の持ってきたビニール紐で体を縛られ、そのまま適当な柱に結び付けられて、一時的に拘束されていった。
俺だってこいつの事殴ったりして暴れたのに、こいつだけがこうやって拘束されるのは、当然と言えば当然なのだろうか。
皆の、そして俺の目には、こいつの方が悪だと映ったのだ。
それがこの常識の通用しない世界で、正しいのか、間違ってるのかは置いておくとして。

A「勇斗、大丈夫？！ひどい怪我……」

倉庫の中にあった鏡に映る俺の顔。
右目は腫れあがり、口や鼻からも血が流れて、なんとも間抜けな顔になっていた。

勇斗「俺は、大丈夫……。それより、お前は？どこも怪我してないか？」

A「うん……。大丈夫……」

そうは言っていたけど、Aの服は所々破れて、まだ肌が見えてる。
それに、押さえつけられてた手首とかが、赤くなってるのが見えた。
Aのこんな姿を、これ以上他の誰かにさらしておくなんて耐えられない。
つらかっただろうし、怖かっただろうし、痛かっただろうし……。
だから俺は、着ていた上着を脱いで、Aに掛けてやることにした。