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A「そっか。勇斗がそういうなら、もう大丈夫だね！」
にこりとほほ笑むA。
俺は、その微笑を見つめ、今日の疲れが消えていくのを感じた。
すると、そんな俺達の間に割って入るように、仁人がゆっくりと歩み寄ってきていた。
仁人「申し訳ありませんでした……」
そして、なんとその場で彼は両ひざをついて、頭を下げて、Aの前で土下座したのだ。
これには俺も驚くよりほかない。
まさかここまでの事をするなんて思ってなかった。
あれだけ周りに当たり散らし、人道に反することをしようとしていたのに。
この非現実の世界は、それほどまでに人を狂わせ、壊してしまうのだ。
もう、本当になにが起こっても不思議じゃない。
それぐらいの覚悟を決めなきゃいけないのかもしれない。
A「あ、いや……。頭上げてください……。
これからは、皆で一緒に頑張りましょ？」
仁人「……」
Aのその言葉で、彼は何とも言い難い表情を浮かべている様だった。
でも、Aは本当に心が広い奴だ。
もし俺がAの立場だったら、仁人の事許せなかっただろうし、怖くなってこんなこと言えなかったかもしれない。
それなのに、こいつはもう仁人にそんなこと言えてる。
俺は、何度もAのこの懐の広さと優しさに救われてきた。
付き合う前の幼馴染の頃から。
俺はこいつのそんなところに心ひかれたんだ。
Aのおかげで、俺達これで皆で手を取り合って、助け合ってやっていけるかもしれない。
俺は、そんなわずかな希望を胸に抱いた。
それにしても、今の俺にはそれとは別に、もう一つ心に引っかかることがあった。
勇斗「なぁA、何でこんなとこにいたんだ？夏生さんまで……。っていうか太智は？」
1階の映画館にも、そして2階のこの廊下にも、太智の姿は見えない。
2人の事頼んでたのに、あいつこんな時にどこ行ったんだ。
A「そのことなんだけど……」
さっきまでの明るい表情を突然曇らせ、Aも夏生さんも、なぜかそのままうつむいている。
何だ？
まさか、俺達が外に出てる間に太智に何かあったのか？！
勇斗「な、何だよ？！太智がどうかしたのか？！まさか、怪我でも？！」
A「ち、違うの……。実はね……」
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年8月11日 17時
