【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 2 (ページ3)

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彼の体はまたも勢いよく吹き飛び、倉庫の中になったラックに激突。
大きな音を立てて飛び出すラックの中身も、今の俺には全く気にならない。

仁人「何すんだよ……いってぇな……」

しかしながら、彼も負けてはいない。
鋭い視線で俺の事をにらみつけると、口から滴る血を吐き捨てて、俺の方へ突進してきた。
そして、こいつの手が俺の胸倉をつかみ、俺もこいつの胸倉をつかみ返す。
力任せに体を壁に激突させあって、くんずほぐれつ、一触即発の攻防が始まった。

仁人「何だよその顔。
昨日俺にあんだけ偉そうに言ってたくせに、結局はお前も同じじゃねえか」

勇斗「黙れ……！」

仁人「良い奴ぶってかっこの良いこと言って、勝手に俺達の行動も制限して決めつけて、ここの支配者にでもなったつもりか？！ああ？！」

勇斗「うるせぇんだよ……そんなつもりねえよ！！」

仁人「いいや、お前は俺達の行動全部コントロールして、自分のやりやすいようにやってるだけじゃねえか。
お前こそ自分勝手な考えしてんじゃねえのか？
結局お前は自分の事しか考えてない。
こんな状況で皆考える力もないから、頭ごなしになんでもかんでも自分の良いように決めつけてるだけ。
だから俺はお前がムカつくんだよ。
表向きへらへらして良い奴のフリして、本性はどうしようもない―」

こいつがその続きを話すことはなかった。
何故なら、俺の拳がまたもやこいつの頬をぶっ飛ばしていたから。
こいつの話を聞いていると、俺の心を覗かれて、どんどん自分が自分で無くなるようで、俺と言う存在のメッキがはがされていくようで、

怖かったんだ

だから、俺はこいつの話をこれ以上聞きたくない。
これ以上、こんな奴に俺の心を覗かれたくはない。
これ以上……

もはや考えることなんてない。
体が勝手に動いている。
俺に吹っ飛ばされて倒れてる仁人の上に馬乗りになり、拳を振り上げ、こいつの顔面を狙ってる。
そして、何の躊躇もなく、俺はその拳を振り下ろした。