【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 2 (ページ11)

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車に揺られてかれこれ2時間。
外の景色さえ綺麗だったら、何とも快適なドライブになっただろう。
けれども、車内の窓から見えるのは、やはりどこに行っても砂と岩ばかり。
結構な距離を走ったはずなのに、その光景は何一つ変わらなかった。

舜太「もう県境越えてるはずやのに……」

勇斗「もうちょっと行ってみよう……」

舜太が言ったように、県境はとっくに超えてるはず。
だとすれば、日本中がこんな砂漠に様変わりしてしまったのか。
仁人が言ったように、核爆弾か何かが落ちたのなら、こんな広範囲にまで影響が出るだろうか。
それに爆弾が落ちたのなら、こんな風に何もかも砂になってしまうのだろうか。
瓦礫や破片、果ては死体なども見当たらない。
なにより、そんな大爆発が起こったとして、あの映画館だけがぽつんと無傷で建っている方が不自然ではないか。
そう考えると、あの映画館自体が、この砂漠に飛ばされてきた、というような考えをした方が、しっくりくる気がしてくる。
にわかには信じられないが、太智やAが言ったように、本当にここは映画の中の世界だとでも言うのだろうか。

そもそも、あの映画は何なんだ。

俺の記憶にある限り、こんな風にただ荒野の砂漠が映し出されていただけのように感じる。
それを果たして映画と呼ぶのだろうか。
音もストーリーもない、ただの砂漠の映像。
作ったやつは、何を思って撮っていたんだろう。

ぼんやりと、俺はそんなことを考えながら運転していた。
けれどその時、助手席に座っていた舜太が窓開け、俺にこう叫んだのだ。

舜太「勇斗さん止まって！」

勇斗「何だよ急に」

舜太「あれ！」

そして指さした先、そこには大きな口を開けた地割れが広がっていた。
舜太が気付いてくれなかったら、俺はぼうっとしてたせいでこの地割れに真っ逆さまに落ちていたかもしれない。
とりあえず、代わり映えしない砂と岩ばかりの景色の中で、ようやく珍しい光景に出会えたので、俺と舜太は車を降りてその地割れを観察してみることにした。
まるで崖のように切り立ったその地割れ。
ここを踏み外せば、きっと命はないだろう。
一歩ずつ、足場の安定性を確認しながら、俺と舜太はゆっくりとその地割れの縁に歩を進め、底を覗いてみる。