【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 2 (ページ1)

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俺は手に持っていた箒を投げ捨てて、映画館の裏手から全速力で映画館の中へと駆け込んだ。
あんな悲鳴を上げるなんて、Aによっぽどのことがあったんだ。
俺は不安で胸を締め付けられながら、入り口の扉を潜り、ロビーに転がり込んだ。

勇斗「A！！」

夏生「勇斗さん、こっち……」

すると、Aを呼ぶ俺の耳に、震える夏生さんの声が聞こえてきた。
彼女は倉庫の前の通路で、足を押さえながら蹲って俺に手招きしていた。
この様子じゃ、夏生さんも何かあったようだが。

勇斗「どうしたんだよ？！何があったんだ？！」

夏生「さっきの話、仁人にしたら……彼、滅茶苦茶怒って……。
何で俺がそんなのに従わなきゃいけないんだって……。
それで……もう俺は好き勝手やるって言って……。
私の事突き飛ばして……」

震えて泣きながら、彼女はそんな風に話してくれた。
やっぱり、仁人には伝わらなかったのか。
まるで、火に油を注いでしまったような気分だ。
それより、そんなことより、俺にはもっと大事な気がかりがある。

勇斗「Aは？Aの悲鳴が聴こえたんだけど？！」

夏生「Aさんは、あそこの中……」

そして、彼女が指差す先には、仁人がこもってた倉庫。
扉は完全に閉ざされていて、中は見えない。
けれどもその時だった。

A「や、あぁ！や、やめてください！！ぁあ……！」

Aの、そんな声が聞こえてきた。
何か苦しそうにもがく様な、必死に抵抗するような、そんな声が。
俺の心臓が、はち切れそうな程高鳴った。
中で一体何が。
早く、早く助けに行かないと。
俺は飛び上がるように立ち上がり、その扉へ突進していた。
でも、扉は開かない。

勇斗「A！！中にいるのか？！A！！」

俺は必死に呼びかけた。

A「勇斗？！た、助けて！！お願い！！」

と、中から悲痛なAの声が聞こえてきたのだ。
その声で、俺はもう一度倉庫の扉に体当たりした。
少しだけ開く扉。
けれども、その扉はなにやら重たいものでバリケードにされ、塞がれている様で、ほとんど開かない。
わずかに開いた扉の隙間から、俺は中の様子に目をやった。

勇斗「っ？！」

俺は言葉を失った。
一瞬、頭が真っ白になったんだ。
だって中で、あの金髪の男、仁人に馬乗りにされ、無理矢理服を脱がされそうになってるAの姿があったんだから。