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仁人「また訳の分かんねぇことを……。外の景色なんてどう見たって砂漠しかねぇじゃねえか！！」
柔太朗「いやいや、君だってすでに気が付いてるはずさ。良く思い出してごらん？」
仁人「はぁ……？」
夏生「仁人、何に気付いたの？」
仁人「そ、そんなこと言われたって、なんのことだよ？！」
柔太朗「さぁ？さて、僕はそろそろこの映画の続きでも見てみようかな」
そう言って、柔太朗は俺達に微笑みかけると、元のシアターのど真ん中の席に座って、堂々とスクリーンに映し出される映画を鑑賞し始めたのだった。
舜太「何やねんあいつ……。わけわからん……。っていうかチケット持ってるんかな？タダで映画観てるんちゃうやろな……」
舜太のつぶやいた言葉が聞こえていたのか、柔太朗は舜太に見えるようにポケットから一枚の紙切れを出すと、それをひらひらと振っていた。
それは俺も持っている、ここの売店で買った映画のチケットだった。
舜太「……何で持ってんねん……」
仁人「あんなやつほっといてここから出ようぜ。気味悪い……」
夏生「あ、仁人、待ってよ！」
いつも先陣を切って去っていく仁人と夏生さん。
それに続いて、舜太もシアターを出て行ってしまった。
俺は正直、もう少しこいつの話を聞いていたいと思ったのだが、こいつの口ぶりからして、大した話は聞けそうにないのが現状だ。
さっきの助言とやらも、俺にはまだ何のことかよくわからない。
一旦ここを出て、皆で考えてみるか……。
勇斗「俺達も、一旦行くか……。さっきあいつが言ったこと、考えてみる？」
A「う、うん……」
勇斗「太智は？」
太智「僕は……あの人とこの映画、観てる……」
勇斗「え……？」
太智「あの人も、映画好きそうだから……」
映画好き同士、惹かれるものでもあるのか、太智はあの柔太朗の事を結構気にかけているように見えた。
勇斗「あ、じゃあさ、あいつからもっと何か話聞きだしてみてくれよ」
太智「え？ぼ、僕が……？」
勇斗「頼むよ……」
太智「……。頑張ってみます……」
ごめん太智。
でも、少しでもこいつから何か聞き出せれば、何で周りがこんな砂漠になったのか、俺達がどうなったのか、分かるかもしれないんだ。
そして、俺とAは、太智と柔太朗を残し、他の皆の元へと向かうためにシアタールームを後にした。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年8月11日 17時
