【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 2 (ページ41)

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それは、このシアタールームの一番後ろから、あのスクリーンを撮影しているような、そんな映像だった。
そしてもっと信じられないのは、そこに、俺の後姿が映っているという、何とも恐ろしい映像だった。
いうなれば、誰かが俺の後ろからカメラを向けて撮影している映像が流れている、そんな感じだ。
まさか、この映像を撮っている奴が後ろにいるとでも言うのか。
そして俺は、恐怖で足がすくんでいた。

俺の後ろに誰かいる。

さっきまで確かに誰もいなかったはずなのに、俺の背後に何者かの気配。
このまま振り返ってもいいものか。
振り返った瞬間、俺はどうなってしまうのだろう。
怖い。
得体の知れない恐怖が俺の全身を支配する。
その間にも、スクリーンに映し出される映像に、また変化が起こっていた。
なんと、段々と俺の後姿が大きくなっていく。
まるで、俺の後ろでカメラを向けている何者かが、段々と俺に近づいているような。
既に俺の体は恐怖で汗びっしょり。
指一本も動かせないほど怖い。
そして、どんどんどんどんスクリーンに映し出される俺の背中が大きく、近くなっていく。
俺のすぐ後ろに、誰かがいる。
一体誰だ。
何なんだよ、これは。
恐怖心の中、俺の脳裏に、Aの顔が浮かんで見えた。
そうだ、俺はAに伝えたいことがあるんだ。
こんなとこで、こんな訳の分からない恐怖で怯えている場合じゃない。
わずかに闘志を取り戻した俺は、全身を奮い立たせ、思い切って振り返った。
そこに、何が待っていようと。

勇斗「誰だ？！」

けれど、俺の後ろには、ただ映写室から伸びる眩い光だけ。
誰もいない。
何もない。
そしてもう一度スクリーンに視線を戻すと、さっきまでの映像がまるで夢幻だったとでもいう様に、いつもの砂漠の映像に戻っていたのだ。