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薄暗い事務所の中。
俺は舜太が持って来てくれた懐中電灯を手に、一人扉を潜って中にいるはずの太智の姿を探していた。
ぱっと見渡した限り、あいつの姿が見えない。
勇斗「太智……？ここにいるんだろ？」
懐中電灯で照らされた部屋には、机が2台と、大きめのソファーが一つ。
後はロッカーがいくつか並んでいる、何の変哲もない事務所だ。
更に奥まで入り、懐中電灯で照らしてみる。
すると、机の陰の部屋の隅っこに、あいつはいた。
身体を小さく丸めて、体育座りをして、肩を震わせて隠れていた。
勇斗「太智……。ただいま。外見てきたんだけどさ、何もなかったよ……」
とりあえず、俺はさっきまで車で見て回って来た外の様子について話をした。
こんなことで、太智に芽生えた罪悪感を払しょくできるとは思っていないけれど、何か話すきっかけにはなってくれるはずだ。
勇斗「マジでここって映画の中なのかな……？
あの映画って、何なんだろうな……」
太智「……ごめんなさい……」
すると、黙って肩を震わせていた太智が、そうぽつりとつぶやいた。
鼻をすすって、声を震わせ、きっと泣いてる。
勇斗「……謝ることないって……。俺があんなルール決めなきゃ良かったよな……。
謝るのは、俺の方だよ……。ごめんな、太智。
だから、顔上げろよ……。皆も待ってるぜ？」
太智「僕……お腹すいて……我慢できなくなって……大事な食糧、あんなに食べちゃって……もう、皆に会わせる顔なんて……」
勇斗「……。実はさ、俺、お前が言った通り、今朝本当はトイレでシコってたんだよ」
太智「え……？」
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年8月11日 17時
