【M!LK】漂流シアター～Winding Road～ 2 (ページ21)

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あれだけ反目しあってた俺達だったけれど、仁人にどんな心の変化があったのかはまだよくわからないけれど、なんだか、ようやく彼とまともに喋れたような気がする。
それだけで、俺は少し嬉しくなって、泣きそうになってしまった。
舜太は、こいつも連れて帰るの？って感じで、まだ警戒してる風だったけれど。
そして、仁人の運転で、俺達はあの映画館に戻ることになった。

勇斗「俺、佐野勇斗。勇斗って呼んでくれよ。で、こっちは曽野舜太。あの映画館のオーナーの息子なんだって」

後部座席で、俺はルームミラー越しに仁人にそんな風に自己紹介をしてみた。
あんなことされた後だけど、状況が状況だし、俺はこいつとも仲良くなれるのなら、仲良くなりたいと思っていたし、こいつとはこんな自己紹介はまだだったし。
まぁ、こいつにとって、俺のこんなところも嫌いなんだろうが。

仁人「……俺は、吉田仁人……」

けれど、小さな声だったが、確かに彼はそう答えてくれた。
これって、少しは俺の事、認めてくれたってことななんだろうか。

勇斗「じゃあ、仁人だな。よろしくな仁人」

仁人「馴れ馴れしい。うざい」

勇斗「そ、そんなこと言うなよ！」

仁人「はぁ……」

少しばかり呆れている感じだったけれど、ほんの数時間前までのあんな殺伐とした感じではない。
少しずつでいい、これで6人、分かり合えて来たのかもしれない。
この砂漠の世界で、たった6人しかいない俺達。
手を取り合って、助け合って、絶対、助かる方法を見つけてやる。

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