patisserie NEWS３

リボン 09 ページ49

「ん！ん・・・、」

「・・・はぁ、これほんと・・・やばいね。」

甘い味、甘い香り、甘い吐息。

滑る慶ちゃんの指先まで、全部が全部、お砂糖みたいに甘ったるくてクラクラする。

「あー、もぉやばい。Aかわいい。おいしい。たまんない・・・。」

苦しそうに息を吐いた慶ちゃんが、またローションの小瓶に手を伸ばした。

「もっと食べたい・・・、」

わたしの中をとろりと混ぜて、見せつけるように指に舌を這わせるその姿に、目の前でチカチカと星が弾けた気がした。


・・・ああ、プレゼントをあげた時の笑顔に「ほっこり」なんてしてる場合じゃなかった。

「ふふ、今年のスイーツが今までで一番おいしいかも。」

慶ちゃんはわたしに「マンネリ」なんてものを感じさせてくれる気は一切ないみたいだ。

この調子じゃ来年はわたし、どうなっちゃうんだろう。

なんて、ほんの少しよぎった不安は

「ねぇ、2週間も我慢したんだから・・・今年はじっくりたっぷり味わわせて？」

「あっ・・・！」

じわじわと侵食される感覚によってすぐに、甘く甘く溶かされてしまったのだった。



〜 fin 〜



20190827
ウィロー060

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