patisserie NEWS３

マニマニ 07 ページ28

「ん、ふ・・・んん、」

流れ込んでくる強いお酒の味とりんごの香り。
塞がれたままの唇に息が出来ず、注がれるまますべて飲み下してしまう。


やだ、だめ、本当にこれ以上は、


そんな思いは声にならずに

「・・・なあ、もっと酔ったらどうなんの？」

一瞬離れただけで返事をする間も無く再び重ねられた唇の隙間から、吐息に紛れて零れていった。



―――――



「・・・やっ、も、むりっ・・・！」


1枚、また1枚と剥がされて

全部全部、暴かれて

もう何度、頂へと導かれたか分からない。

リビングからは点けっぱなしになったままのDVDの音が聞こえる。
ほんの少しだって観られないまま、もう何度リピート再生されているだろう。

いつもより頑張ったヘアアレンジも
新しいコスメで気合いを入れたメイクも
きっともう、「完璧な彼女」なんて程遠いくらいに汗と涙でぐちゃぐちゃだ。

「っは、まだ・・・もっと、」

何よりもこんなに貪欲なシゲの姿は見たことがなくて。

「これはお酒が見せる幻惑なのかもしれない」なんてことをぼんやりと思ったけれど、余計な思考は打ち寄せる快感の波に一瞬で飲み込まれてしまった。

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