patisserie NEWS３

アモーレ 05 ページ19

「・・あのねぇA。」

祐くんは首をかしげるわたしを見つめると、困ったようにふう、と息を吐いた。

「バレンタインに女の子から男に贈り物するのなんて日本だけだよ？
そりゃね、女の子の恋を応援する素敵なイベントだとは思うよ？でもね、世界的には男性から女性に贈り物をする日なのよ。だからね、」

“このバラは、俺からAへのプレゼント。”

満面の笑顔と共にぱさりと渡された花束からはゴージャスな香りがした。
今までに嗅いだことがないような素敵な香り。
もしかして、すっごく高価なものなのかな・・・。

「本数にも意味があるんだって。A、何本あるか数えてみて？」

「えっ？1、2・・・11本？」

「そう、11本のバラはね、『最愛』って意味だよ。」

「・・・！」

“ただいまハニー”
“ダーリン帰ってきたよ”
“バレンタインだからね！”

思えば祐くんは帰ってきてからずっとニコニコの笑顔だった。
わたしに「最愛」の意味を込めたバラの花束を渡そうと思って、ウキウキで帰ってきてくれて、それであんなにずっと、

「・・・ごめんなさい、祐くん。」

ニコニコ笑顔の祐くんが涙で滲む。

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