in 楽屋裏 4

良い夫婦の日（磁石） ページ20

大阪公演初日後の楽屋。
先程から一匹のワンコが机に顎を乗せた状態で器用に隣に座る櫻井を見上げている。
瞳だけ見ても表情は伺えないが、はそを付きだした様子は、御主人様に構って貰えず拗ねるワンコそのものである。

チラチラと気にしながらも新聞を見る櫻井。
はっきり言って全然内容は入って来ない。
他の三人も視線の端には入れておきつつ、そ知らぬ振りで成り行きを見守っていた。
下手に声を掛けると要らぬ流れ弾に当たるのを避けたいからである。

翔「………ん、コホン。」

和「………。」

翔「………あ〜、うん。何だ………。」

和「………。」

翔「………。」

和「………。」

翔「ああっ！ごめん！何か分かんないけど俺が何かしたんだよね。ごめんなさい！！」

和「………。」

耐えきれなくなって深々頭を下げる櫻井。それに対し二宮のはそは更に長くなってゆく。
ウルウルお目目が何かを物語るが、一向に心辺りの無い櫻井。困惑し前に座る相葉に視線で助けを求めた。

雅「ニノ〜、何どうしたの？翔ちゃんが何かした？」

苦笑しながらも優しく声を描ける相葉。視線も同じ高さにしようと顔を横にして訪ねるのが基本である。
普段ならこれで二宮が観念するのだが、本日はそう簡単な様子では無いらしい。

視線を相葉に移す二宮。
因みに机に顎を乗せたままだから体制的に辛くは無いのだろうか？
しかしそんな事は構わず、ワンコは更に頬まで膨らませ相葉を睨み付けた。

雅「………？えっ？俺も？？」

コクンと頷くワンコに困惑を隠しきれない櫻井と相葉。二人は互いに顔を見合せ、何をしたかと必死に思い出そうとした。

………が、どう思い返しても理由が浮かばない中、大野が珍しく「あっ」と声を上げるのだった。。

智「解った。あれでしょ？『良い夫婦の日』」

翔「？って何だっけ？？」

完全に忘れている様子の櫻井に、ワンコは拗ね拗ね全開にして頷くと、やっと重い口を開くのだった。

和「………翔ちゃん、やっぱり相葉さんが良いんでしょ。」

翔「？！えっ何で突然そうなる訳？」

和「だって…一ヶ月以上も先のプレゼントを態々良い夫婦の日にあげるなんてさ、相葉さんをパートナーに選んだようなものじゃない。」

上目使いで見上げるワンコ。
キュンキュン胸トキメキ、今にも飛び付こうとした櫻井。しかし意外過ぎる相葉の言葉に、体が急停止した。

雅「へっ？そうだったの、翔ちゃん？」

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