朔。8 ページ48
肩を並べて暫くその月を眺めた。
隣で静かに見上げるその姿はまさに映画のワンシーンそのもので、今カメラがあったら俺はその全身を引きのショットで永遠と撮り続けるだろう。
編集作業の際、時々目にするワンショットの長回し。あれを目にする度、苦笑と軽い嫉妬を感じていたのだが、今こうして目の当たりにしてみると、ひたすら撮さずにはおれないカメラマンの気持ちがよく分かった。
目が放せない。いや、目だけでなく、五感全てが貴方を捕らえその総てを収めたく、息をするのさえ躊躇する。
指がフレームを作り貴方を収める。
月と貴方と紫煙が浮かぶその映像を、俺は瞬き１つしないで脳裏に焼き付かせるのだった。
「ああ〜！場所間違えたなぁ〜。」
「えっ？」
「俺もそれやりたい！絶対狡い画が撮れるじゃん。イケメてる松本さん、此処まで踏み込める画像はそうは無いよね。」
「ニノにだけなら、何時でも。」
「ホントォ〜？」
「ホント、ホント。でもだから今日だけは俺に譲って。」
「ええっ？何でぇ？」
「ね、お願い！」
「ん、分かったよ。何たって今日の主役さんだもんね。ホント………ごめんね………。」
「何で？」
「だって折角、休日ハピバだったのに。」
「楽しかったよ、俺。」
「でもさっ」
「でもじゃ無いよ。本当にね。俺の方こそありがとう。一緒に居させてくれて。」
本当に。
「………。」
「あ、後１個だけお願い聞いてくれる？」
「？うん、良いよ。何？」
腕を伸ばしその体を引き寄せる。
小さな体。
あの頃から変わらないその姿。
それはあまりに不自然な程で貴方の時間が止まっているのか、それとも自分が早いのか、共に今を生きている筈なのに。
不安になる。
だからこうして確かめたくて、貴方の薄い体を抱き締める。
そして、これからもずっと１つだけ。
「………来年。」
「うん？」
「来年の今日も貴方を俺に下さい。貴方と一緒に居られるように約束…して………。」
そして来年はまた次の年を。
また、また、また………。
一回でも多く。
「ん、約束されました。」
「くすっ。本当かなぁ？」
「ええっ、俺ってそんなに信用無い？」
「いいえ。」
今は誰よりも………。
「信用してます。」
あいしてます。
了
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YUY(プロフ) - 汐さん» 見て頂きありがとうございます。うん、イメージ的に真面目な子ほど、分からないんじゃないかな？って。(笑)後半も後５日ですね。待ってて頂ければ幸いです。たまには明るいの書きたくて。(笑)あの子が楽しそうなのが一番！感想ありがとうございました！！ (2015年6月12日 6時) (
レス) id: dde059238c (このIDを非表示/違反報告)
汐(プロフ) - ああー、翔潤の慌てっぷりもかわいいけど、大野さん相葉さんのわかっちゃうかんじもまた、愛を感じますね…！やっと来た、あの子のお誕生日、楽しく読ませていただいてます。 (2015年6月11日 23時) (レス) id: 9e1bb7f1b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：YUY
| 作成日時：2014年11月25日 15時
