朔。7 ページ47
＊＊
夜になると季節が移り変わった事がよく分かる。風の温度が変わるからだ。
俺はベランダに出て煙草に火を点け、吐き出した紫煙の中から景色を眺めた。
普段見る自分の所とは違うビルの並びはとても興味深く、特に都会は夜の方がその形を綺麗に浮かび上がらせてくれていた。
「………。」
常に持ち歩いている書類の中から、数時間前あの人が指摘した所を確認する。
右の脳は空間を認識するからか、こう言ったモノを捉える能力は誰よりも優れている。
だから面白い。
線や点、数で描いたモノに比べ、そこには時間軸の上に奥行が重なりあうのだった。
「………そうなると、先の………」
「うん。２曲前のバラける時が最適だと思う。あっ、俺も１本頂戴。」
「？！ったく！お前なぁ！！」
「何ぃ？まだ寝ろって言うの？あのね、寝るのって結構体力使うんだからさぁ。これ以上寝てたら明日疲れて仕事になんないよ。」
頬を膨らませ不貞腐れた顔で言われては、もう流石に強制するには忍びなく、まぁ確かにただ寝る作業が疲れるのも理解出来るから、俺は紫煙を吐き出しながら場所をズレて席を作った。
「分かったよ。………で、うん、そうだな。でもそうなると、何処かで翔さんが端へ行く流れを作らないと。」
「うん。そうなんだよね。探してみるよ、明日連絡するから。」
「！！………あのなぁ！」
「あっ？ごめっ！遅い？」
「バカ。逆。………ねぇ、お願いだから貴方はもう少ししっかり休んで！これは俺の仕事。」
「………違うよ。この先はもう皆の仕事。それにさ、もう休めるだけ休んだって。何処かの誰かさんのお陰でね。………ありがと。」
「………ニノ………。」
最後の言葉は微かに聴こえる位の声だった。
でもだからこそ、その言葉には心があって、俺は隣に座る貴方を見つめた。
「！………。」
見上げれば頭上高く浮かんだ真ん丸い月が貴方の姿を照していた。
「ん？何？」
「………あっ、いや………月に………」
照らし出された貴方が綺麗だと思った。
「月がさぁ、満月なのかなぁ？あれ。」
「？えっ？あっ、ホントだぁ。………大きいね。」
「うん。」
二人の吐き出す煙の中、覗く丸い月はこんな明るい都会の空でも霞むこと無くはっきりその存在を浮かび上がらせていた。
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YUY(プロフ) - 汐さん» 見て頂きありがとうございます。うん、イメージ的に真面目な子ほど、分からないんじゃないかな？って。(笑)後半も後５日ですね。待ってて頂ければ幸いです。たまには明るいの書きたくて。(笑)あの子が楽しそうなのが一番！感想ありがとうございました！！ (2015年6月12日 6時) (
レス) id: dde059238c (このIDを非表示/違反報告)
汐(プロフ) - ああー、翔潤の慌てっぷりもかわいいけど、大野さん相葉さんのわかっちゃうかんじもまた、愛を感じますね…！やっと来た、あの子のお誕生日、楽しく読ませていただいてます。 (2015年6月11日 23時) (レス) id: 9e1bb7f1b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：YUY
| 作成日時：2014年11月25日 15時
