十一月3 ページ19
Masaki
あの長い夜。家に帰らされた俺達は、一様に和君が居たリビングへと入って行った。
ここへ皆が集まったのは何ヵ月振りだろう。五人で無く、四人限定で言うなら和君が来た日にまで遡らなくてはいけないのは確かだ。
「っつ、何で誰も居なかったんだよっ！」
部屋に入るなり、松潤はリビングのソファーに上着を投げ付け怒鳴った。
「お前だって、そうだろうが！！」
苛立ちを隠そうともしない翔さんのこんな荒げた声を始めて聞いた。
「っつ、分かってるよ！………分かってる。…これは俺自身に言ってんだ……。」
うん。分かってる。
誰も誰かを責めてるわけじゃ無かった。
誰もが自らの行いを悔いているだけだ。
だけど。
悔いたらそれで終わる訳では無い。
後悔しても何も変わらず、だからと言って、今自分達が出来る事は何一つ無かった。
あるとすれば、ここで俺達の帰りを待っていた和君の回復を願うだけ。
ほぼ時を同じくして俺達三人は家の前に辿り着いた。お互い玄関前で顔を合わした際、誰もが驚きと同時に最初の後悔をしたんだと思う。
戻る際、万が一と急いだものの正直な所、誰かしらが一緒に居るものだと決め付けていた。
だって皆、この家が好きだったし、それ以上に和君の事を好きだったから。
あの子を一人にしておく筈が無いと、勝手に都合よく考えていた。
だから玄関前で鉢合わせした時、三人同時に驚愕した相手の顔を見つめた。
一瞬時間さえ止まった様に感じた。
ふと視界の端に見えたのはリビングの灯り。
そしてはためくカーテン。
窓が締まっていればカーテンが動く筈は無く。だけどこんな酷い雨の中、窓が開いているのは異常な事で。
………それから自分達がどうしたかなんて覚えてはいない。
頭の中は真っ白で。
だけど、自分達が取り返しの付かない事をしてしまったのだと言う事だけは感じていた。
＊＊
「兎に角、今日は休もう。」
車を入れて最後に戻ってきた大野さんが真っ直ぐな瞳で俺達を見ていた。
四人の中でも一番この人とは長く居るけど、こんな疲れた表情を見たのは始めてだった。
「………。」
誰も席を立とうとはしなかった。
俺達三人を一瞥すると大野さんはまた直ぐ部屋を出て行った。
俺達に失望したのだろうか？
いや、自ら失望している位なのだからその位は当然だろう。
憤慨し怒鳴り散らされた方がこの際良かったのかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
YUY(プロフ) - はるのさん» いえいえ。(笑)本当年末年始は嵐さんの番組だけでも大変でしたよね。うちのサーバー壊れちゃうんじゃないかってハラハラしてました。(笑)また良かったら今年も宜しくお願いします。 (2016年1月8日 4時) (
レス) id: dde059238c (このIDを非表示/違反報告)
はるの(プロフ) - こんにちは。12月バタバタで感想書かずにごめんなさい。あ〜よかったよかったと一人納得していました(笑)あっという間の12月が終わり、もう1月ですね。今年もよろしくお願いします。わくわくの1月、楽しみにしています。 (2016年1月7日 11時) (レス) id: 4606a2649a (このIDを非表示/違反報告)
YUY(プロフ) - はるのさん» やっとご本人さんに近い感じの性格になりました。(笑)やっぱりね、人たらしを書きたい。(笑)今週中には十二月終わらせますので、またその後にでも覗いて見て下さい！(笑) (2015年12月9日 14時) (レス) id: dde059238c (このIDを非表示/違反報告)
はるの(プロフ) - 来た♪来た♪12月♪♪と思ってたら、あらあら素敵な流れwうんうんいい男になってくるよね、3人とも。だけど不機嫌な智父さんも面白い。今まで悲しい思いをした分、和くんに笑ってほしいですよね。意地悪がでるくらい素直になることが出来てうれしいです。 (2015年12月9日 10時) (レス) id: 8cf8fc1a3e (このIDを非表示/違反報告)
YUY(プロフ) - ぽんすけさん» ありがとうございます。私もまさか伝えるとは。(笑)もっと後の予定が気付いたら書いてました。(笑)お陰でこの先が不安ですが(笑)引き続き良かったらよろしくお願いします。 (2015年11月12日 22時) (レス) id: dde059238c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：YUY
| 作成日時：2015年10月14日 13時
