伝統とか宗教とかステイタスとか(3) ページ37
「青道高校って、そんなに価値あります?」
俺から放たれた突然の愚かであろう問いに、伊藤会長は厳しい表情を浮かべた。
「そんな大層なもん?」
伊藤ちゃんはハッとして俺を見据えた。
「宇宙からみたらちっぽけなもんだ。それに加えて、もう何年も甲子園に行ってない。そこまでの価値があるとは思えません」
「何が言いたい」
伊藤会長は厳しい視線のまま、俺の出方を待っている。
きっと、宇宙の力とやらを使って青道野球部を優勝でもさせて、青道高校の価値と更にはこの宗教の力を誇示したいのだろう。乗ってやってもいいぜ。
「せっかくだから付加価値を付けましょうよ。あなたたちが成し遂げた甲子園出場をもう一度、俺たちの代で取り戻す」
「甲子園出場?私たちが成し遂げた?」
「違うんですか?」
「私はただスタンドで見ていただけだ。騒がれる丸茂や高島の姿を、ただ、私は行きたくもない甲子園球場まで行って、言われた通りにメガホンを持ち大声を出しながら眺めただけだ」
なんだって?行きたくもない甲子園?
「君は大きな勘違いをしているようだね。御幸くん。私にとって、過去の丸茂や高島の活躍も今の青道高校の成功も望んだものじゃないさ。だから今、宇宙を手に入れようとしているんだよ」
何を言ってんだ。この人。
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作者名:ほさつ1秒83 | 作者ホームページ:https://twitter.com/hosatsu1_83
作成日時:2021年8月29日 19時