配球(1) ページ31
データになかった球種が突如放たれた。
そういう感じだ。しかも残念な方の。
例えるなら、西東京大会の決勝で、5球種だと思っていた鳴が突然パームを入れてくるくらいありえない。
だってパームだぜ?150km/h超えるストレートを投げられて、変化球だって早い。
そこにあれだけスクリュー気味に落ちるチェンジアップを投げられるのに、パームって……。ねぇだろ。
その時点でいただきまーすなのか、なにか不気味さだけを感じて一旦引くのかで言えば、相手が鳴なら後者だ。
一旦冷静になってよく考えないとととんでもないことになる。
いや、そもそも鳴にパームはねぇんだけど。
だから、不気味でしかない。
だって、宇宙って、あんた。
宇宙って……。
宇宙って……。
鳴にパームだから……。
「プーーーーーーーーーッ!!!!」
オレは理性を通り越して、吹き出してしまった。
やっちまったわけだ。
こんな場を弁えることもできず、一世一代の気持ちで来たのにオレってやつは。
ただ、ひとたび吹いてしまったその後は、止まらない腹の痙攣に一人もう笑い転げ倒す始末で、焦る伊藤ちゃんに、ヒーヒー言いながらも、ゴメンゴメンと謝って、それでもなおダメだと思えば思うほどに止まらず笑いころげながら伊藤会長を見ると、会長もはははと笑っている。
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作者名:ほさつ1秒83 | 作者ホームページ:https://twitter.com/hosatsu1_83
作成日時:2021年8月29日 19時