宙よ光よ手を差し伸べよ(3) ページ28
対して伊藤会長の余裕の構えは嫌いじゃない。大物感が半端ない。それならそれでやりようはある。オレは目を閉じてフゥと一呼吸つくと、一旦頭の中であるべき姿を模索する。
着地させるところは決まってるんだ。あとはどう誘導できるか。相手が相手だ。化かし合いをするのは得策じゃない。
「先に聞きますけど、会いたかったってなんでオレなんかと?」
伊藤会長はハッハッハと高く笑ってから居直ると、ずいと身体をオレに寄せて言った。
「分かっててここに来たんじゃないのかな?」
「厳密に言えば、分からないから来たんですよ。オレにどんな利益があるのか分かんねぇし」
高島理事長の切り札が何なのか分からない限り、オレはオレの道を行くしかない。オレはどちらにもつく気はないし、利用される気もない。
利用されないためには高樹陽子の持つカードに匹敵するもしくはそれを超えるカードを持って出し惜しみすることだ。
オレは伊藤会長に向かってカマをかけてみることにした。ずっと思ってたことだ。万が一外しても、何も知らない子どもだからと笑い飛ばされればそれでいい。
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作者名:ほさつ1秒83 | 作者ホームページ:https://twitter.com/hosatsu1_83
作成日時:2021年8月29日 19時