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何者でもない(3) ページ17

伊藤はおそらく、高島理事長に対して一戦交えようとしている伊藤会長との関係を今のところ修復しようとは思っていないだろう。味方につけておきたい。


「ママを刺激しないで。それだけはお願い」

「分かってる」


伊藤に指示されたみゆき館とやらをスマホで調べる。
いや、これ、便利だな。スマホ……。
今になってつくづく親父に感謝する。恩返ししねぇとな。
高校野球の延長線上にある目標が明確になって行く。

ワイドショーで見た鳴を思い出す。倉持が読み上げたゴシップを思い出す。見るなと言われたSNSはだいたい何を書かれていたかは想像がつく。そして堂々と復活を果たした眞白心音の姿を思い出す。そして、テレビ局の楽屋のネームプレートを思い出す。

オレは……何者だ?本当に何者でもないな……。


銀座みゆき館は赤いオーニングが鮮やかで、すぐに見つけることができた。以前、親父がオーニング用のアームを受注した時に、カタログで南プロヴァンス地方の写真を見たことがある。この店はまさにそんな趣きがあって、ショーケースには色とりどりのケーキが並べられていた。

丸茂奏に別の席で待ってもらい、伊藤と奥の席で対面した。


「礼ちゃんと仲良くやってる?」

「茶化すなよ。その話はまたにしよう」

「話しておきたいことって?」

「その前に何をしようとしてるのか教えてくれ。必ず力になる」

「うーん。まだ決めてない」

「は?」

「流れによる」


伊藤は大きくため息をついて「君ってやつは……」と笑った。

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:ほさつ1秒83 | 作者ホームページ:https://twitter.com/hosatsu1_83  
作成日時:2021年8月29日 19時

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