ヒモ男子取扱説明書【V】

基本、 ページ25

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泣き終わったのは朝日が昇ってから。




太陽が目の前の湖を照らし、モノクロの景色に色が付けられる。





帰ろう。




Aちゃんに謝って、ユンギヒョンにもナムジュニヒョンにもホソギヒョンにも謝って




許してもらえるかわからないけど、もう一回チャンスをもらおう。




そう思って立ち上がったら、




「テヒョン！」と背後から声がした。





振り向くと、息を切らしながらこっちに走ってくるAちゃんがいた。




その姿に流れそうになる涙を必死に堪える。




「もう、帰って来ないから、どうしたのかと、って、ちょ、」




「ごめん。本当にごめんね」




かっこ悪いってわかってる。


でも、涙が止まらないんだ。



Aちゃんを抱きしめて、声が出ないように涙を流す。



「どうしたの」



「ごめん…」



「私の方こそ…」




Aちゃんの顔を覗くと罪悪感を抱いてるって書いてあって、



どう声をかければいいのか悩んでいると、Aちゃんから口を開いた。




「仕事にしろ、あんな記事書いてごめんなさい」




Aちゃんは頭を下げた。



確かに、あれは心が痛んだけれど、Aちゃんが好んであんなこと書くわけないんだ。



「ううん、全部僕が悪かった。ごめんね」



そう謝ると、Aちゃんは頭を上げて涙いっぱいの目で僕を見つめた。



「まだ、一緒にいてくれるの？」


「むしろ、Aちゃんはいいの？」


「当たり前じゃん！」



私が拾ったんだもん！ってよくわかんないことを呟く。




家に帰る途中、今のバイトもどうせクビになっただろうし、女の子たちとは全員縁を切るために、SNSも全部やめて、ユンギヒョンにもう一回頼み込んで本格的に音楽活動を始めることにしよう。




ユンギヒョンは強情だから、そんなにすぐ許してくれないだろうけど、



誠意いっぱい行動で示せば大丈夫だよ、ってAちゃんは言う。




そういえば、



「Aちゃんってユンギヒョンとどういう関係なの？」



質問したら、Aちゃんは「あれ？言ってないっけ？」と呟いてこう続けた



「私が養ってるの」







ーーー



“明日も歩き続けろ


立ち止まるには僕たちはまだ若すぎる”





ヒモ男子取扱説明書【完】

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