第10話 ページ11
A視点
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演習場
カタッ
その時、
私は自分がポケットに入れていた"あれ"の存在を思い出した。それが私を再び冷静に引き戻もどした。
私は電球がピカッと光った様にハッ!と閃きすぐさまポケットに手を突っ込んだ。
魔物はもう禍乃の目と鼻の先に迫っていた。
禍乃「ｯ！！」
A『禍乃！！これ受け取ってぇ！』
ビュオン！！
その瞬間、時が止まった…
…ように感じた…
世界がスローモーションに進んでいく…
宙を舞い、禍乃の方へ飛んでいく…
投げた腕に引っ張られ地面に向かって落ちていく私の目線…
視線の端に映るこちらに向かい走ってくる魔物達…
私はつい目一杯投げ、自分が倒れたことにさえその瞬間は気付かなかった。
月明かりに照らされ中に浮くその物体は…
小型閃光銃だった…
パシｯ！！
閃光銃は滑らかに禍乃の手の中へ吸い込まれ、
禍乃がそれを取ったと思った。
次の瞬間、
シ゛シュｯ！！
トリガーを押した音…
中の糸が切れた微かな音…
火薬が燃え始めた音…
それと共に一瞬にして辺りは太陽より眩しい光で包まれた。
思わず、私は目を瞑った。
そんな明るい光も一瞬にして優しく消え、
辺りはまた徐々に闇に染まっていった。
やっと瞼が痛む様な光が消え、
目が開けれる様になった私はすぐさま禍乃に駆け寄った。
A『禍乃！大丈夫ですか？！』
禍乃「うん、なんとかね。ありがと。奴らが怯んでる隙に早くここを出よう。」
A『はい！』
A視点
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廊下
私達は演習場のやけに重たい扉を開け、廊下に出た。
廊下は非常用電灯により赤く照らされ朝とはまるで別の雰囲気だ。
禍乃「うわー、なんか緊急事態って感じするね。」
A『いや緊急事態起こってますから。魔物が校内侵入してますから。』
禍乃「あはは、とりあえず電気室に行こうか。近いし。」
ーーー小ネターーー
・小型閃光銃
魔法が使えない普通の人向けに開発された魔物を追い払う為の装置。
防犯ブザーなどと同等の物と思えばよろしい。
銃と書いてあるが見た目はペンの様で発射口と反対側にボタンがついている。
トリガーを押すと中に詰まった火薬と燃えた糸、少量の魔力に光が合わさり、めっちゃ光る(結論)
小型閃光銃は弱い魔物なら消滅、普通のは怯ませることが出来る。
強い魔物には効果が薄い。
Aが持っていたのはきっと普通科の生徒が残したものだろう。
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作者名：うめ | 作成日時：2022年8月2日 0時
