13 ページ14
あと一駅。
新幹線と在来線を乗り継いで彼らが住む愛知県に入った。
1ヶ月が立つのは、長いようで考えてみたら短かった。
東海オンエアのみんなとは、撮影の打ち合わせを重ねてきていたから期待が膨らむ。
『次は〜』
「お、着くよ」
電車が速度を落として止まった。
扉が開いて軽い足取りで降りたら、あとは改札を抜けるだけ。
さとが待ってと声をかけるのも気にせず、足早に。
駅の入り口まで来て立ち止まり、周囲を見渡したけど、まだ彼らの姿は見当たらない。
「…まだかな」
「誰待ってんの？」
「え、」
後ろから声をかけられて勢いよく振り返ると、そこにいたのは、
「としみつくん、」
意識し始めた、本人だった。
この1ヶ月、早く会いたいと願ってた人が目の前にいる。
満面の笑みでしてやったり顔の彼が、今までになく光って見えた。
「ちょっと前から」
「ほ、他のみんなは？」
「てつやしか来とらんけど、トイレ」
そのうちさとも来るはずなのだが、2人きりという状況に一人で舞い上がってしまう…
うまく目が合わせられない。
「今日は、」
「あのね、」
「あ、ごめん、先どうぞ」
「いや、A先でいいよ」
何か話そうと思って口に出したら、2人とも同時だった。
びっくりしつつも先を促すと、彼は首を振った。
「としみつくんに勧められた曲、気に入ってずっと聞いてるよ」
「マジ？あの曲めっちゃ落ち着くよね」
すごく嬉しそうな表情に耳が熱くなった。
心臓も破裂しそうなくらい速く脈打つ。
「としみつくんは、何て言おうとしたの」
速い脈のせいで声が震えてる気がした。これ以上は彼の顔を見ていられないと思って、目線はつま先に落とした。
「大したことじゃないけど…、
今日はピアス、つけてないんだなって思って」
ドキリとした。
想像もしてなかった言葉だから、返す言葉を必死で探した。
本当に緑が好きになったから、大事にしまっておくことにした。
直球に言えるわけなんてなくて、また言葉を濁した。
その質問の意図もわからないまま、顔の熱が引くのを待った。
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
町永(プロフ) - にっちゃんさん» ありがとうございます。嬉しいです！ (2018年6月11日 0時) (
レス) id: d16337f45e (このIDを非表示/違反報告)
町永(プロフ) - しおりさんさん» ありがとうございます。励みになります！ (2018年6月11日 0時) (レス) id: d16337f45e (このIDを非表示/違反報告)
町永(プロフ) - 芽衣さん» ありがとうございます。お待たせしてしまい申し訳ありません。 (2018年6月11日 0時) (レス) id: d16337f45e (このIDを非表示/違反報告)
にっちゃん - すごく面白いです！続きも気になります！応援してます！ (2018年6月10日 17時) (レス) id: 7cc48860c4 (このIDを非表示/違反報告)
しおりさん(プロフ) - 更新待ってます！！すごく面白いですね(´∀`) (2018年4月9日 19時) (レス) id: d584f209a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：町永 | 作成日時：2018年2月4日 14時
