piece308‐‐伝言 律side ページ8
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Aさんが帰宅し仮眠を取っている間に、私は新さんの携帯に潜り込む。新さんは寮のホールで本を読んでいた。
「新さん、今お時間よろしいですか?」
「えぇ、構いませんよ」
「ただいま。うん? ちょうどAの報告?」
「あ、湊さんおかえりなさい! そうです!」
新さんに今日のAさんについて報告しようとしていた所、ちょうど湊さんも帰宅してきた。湊さんは確か、パーティーの会場まで直接様子を見に来ていたはずだ。湊さんは新さんの向かい側に座る。
「Aは今何を?」
「夜の任務に向けて仮眠を取っています」
「それより、浅野學峯は何話してた? 遠くから見た感じ、良からぬことを口走っていた気がするんだけど」
湊さんにそう指摘され、私は頷く。今日の主な報告は、Aさんについてというより、浅野學峯さんについて、だった。新さんは静かに話を聞いている。
私は學峯さんの言葉をそのまま繰り返し、學峯さんと陰が繋がっているということ、陰が常にAさんの行動を見守っているということをAさんに話していたこと、そして息子である浅野学秀さんが、組織の事とAさんの変装を知っていたことを説明した。もちろん、學峯さんが陰を支配しようとしているということも。
「余計なことをぺらぺらと……息子にまで話してるなんて。あの人に僕らの事情を話したのは間違いだったんじゃないの? 新」
「いや、何も問題はない。彼から多少情報が漏れることは分かっていたしね。寧ろ好都合だ」
湊さんが學峯さんに対して反感を露わにする中、新さんは余裕のある笑みを浮かべる。
「好都合って?」
「Aは味方である律さんに情報を流されてしまった。正体不明の者にストーカーまがいな監視をされ、信頼する者に頼ろうにも頼れない。このまま現状を続けるとどうなる?」
「……Aに不安とストレス、陰を調べるための無駄な労力を与えることになる?」
「そう」
新さんはさらに不敵な笑みを浮かべ、湊さんは察しがついたのか頬が緩み始める。
「Aの足枷になることは私達にとって最も避けたいこと。防衛省__烏間さんもそれは分かっているはずだ。私達はAの不安要素を取り除かなければならない。つまり?」
「僕らからAに連絡を取る理由になる……!」
烏間先生のことを考えると2人を止めるべきでしょうが、私も3人の再会を心待ちにしているので、静かにその様子を見守ることにした。
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9ねみ(プロフ) - カナデさん» ありがとうございます!やっぱり書くのすっごく楽しいので、無理せず頑張ります! (6月28日 16時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - わぁ!久しぶりの更新すっごく嬉しいです☺️これからも頑張ってください…ただ無理はなさらずご自愛ください…!!! (6月27日 18時) (レス) @page40 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 天理さん» お久しぶりになってしまって本当に申し訳ございません。無理せず頑張ります!かならず完結させますので、ぜひ最後まで……! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 理那さん» ありがとうございます!本当にありがとうございます!待たせてしまって本当に申し訳ございません。頑張ります……! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 鹽(しお)さん» 何度も本当に申し訳ございません。待っていてくださるというお言葉が本当に温かいです……。必ず完結までは持っていきますので、ぜひ長い目でこれからもよろしくお願いします! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2020年6月30日 21時