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仕方ない。ちゃんと説得したいところだけど今は時間がない。加入時のことを引き合いに出すか。
「……分かった。ジンが強引に言うなら私も強引に言わせてもらおう。私が組織に入った時のことを覚えているね? 確か私には拒否権があったはずだが、あれは他人にも使用可能か? ダメなら構わない。バーボンの任務を拒否したいと‘お願い’しよう。それもダメなら仕方ない。バーボンに任務は受けさせるが、私が拘束して向かわせないようにしよう。そうしたら組織はどうする? 邪魔をした私を殺すか?」
加入時、私は他の幹部より優待すると言われた。任務の拒否権、大体のお願いは聞き入れる。
そしてこれは優待する理由、"縛りすぎて死神が組織に牙を剥いたら敵わない"。これがまだ有効であれば、ジンは従うしかないはずだ。
優待を上手く使えば組織を操ることだってできる。でも私がそうしないのは、この優待が組織のカマ掛けだと知っているから。
私とジンとの出会い方は不自然ではないはずだ。だがボスからすれば、いきなり死神が組織に近付いて来たようにも見える。裏に何かあると思っても不思議ではない。私の真意を探るため、敢えて優位な立場を与えたのだ。組織をどうこうしようとする素振りを見せたならすぐに対処されるだろう。
『……なぜそこまでしてバーボンを庇う。まさかとは思うが……』
「あまりにも理不尽だから。というよりも、すぐに連絡しなかったのは私だ。庇う責任がある。殺し以外であまり恨みは向けられたくないんでね」
ジンが私にまで疑いを向けてきたところで、いい加減にしてくれと伝わるよう食い気味に答える。それ以上何か言うようであれば強硬手段に出る、と。
そうするとジンは黙り、ようやく任務を取り下げてくれた。少しジンとの関係が崩れてしまったので、修復する必要があるだろう。でも相手がジンだとちょっと厳しいかもな。機嫌は取れるけど、失った信頼は100%取り戻すことはできない。
通話を終えて寝室に戻ると、降谷さんはカメラの確認をしていた。目を覚ましたばかりで頭を回しすぎたのか、また血の気を失ってきている。
「顔色悪くなってるので休んでください」
「えぇ……そうします」
薬だけ飲ませ、冷めてしまったご飯とカメラを回収し、部屋の扉を閉めた。
それから気配が落ち着くまで時間がかかったが、恐らく公安に連絡していたとかだろう。
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9ねみ(プロフ) - カナデさん» ありがとうございます!やっぱり書くのすっごく楽しいので、無理せず頑張ります! (6月28日 16時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - わぁ!久しぶりの更新すっごく嬉しいです☺️これからも頑張ってください…ただ無理はなさらずご自愛ください…!!! (6月27日 18時) (レス) @page40 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 天理さん» お久しぶりになってしまって本当に申し訳ございません。無理せず頑張ります!かならず完結させますので、ぜひ最後まで……! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 理那さん» ありがとうございます!本当にありがとうございます!待たせてしまって本当に申し訳ございません。頑張ります……! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 鹽(しお)さん» 何度も本当に申し訳ございません。待っていてくださるというお言葉が本当に温かいです……。必ず完結までは持っていきますので、ぜひ長い目でこれからもよろしくお願いします! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2020年6月30日 21時