piece327 〃 ページ27
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まず僕は丸1日眠っていたらしい。今は23時過ぎ。ベイリーズは、昨夜僕の治療後と今日の昼間に買い物に出掛けたくらいで、それ以外はずっと家にいた。
家の中で電話している様子はなかったが、恐らくバイトも休んだんだろう。元々なかった可能性もあるが。
言った通り、ベイリーズは僕の私物には触れていない。
スーツやシャツを畳まなかったのは、畳んでいる間に何かを抜き取ったと疑われないようにするためだろう。脱がしたら余計な所を触らずすぐに床に置いていた。
ベイリーズが言っていたことは全て事実だろう。
盛永詩の家には行ったことはあるが、ここは見覚えがない。
僕を助けた理由も理に適っている。
見つけた女性はかなり慌てていたし、ベイリーズがあんな状態になるとは考えられないしな。
だが……。時折様子を見に来るベイリーズの顔は、なんとも表現し辛いものだった。なんというか、大切なモノを見つめる目……というか。ベイリーズが発見者のような慌てぶりを見せていてもおかしくないような目。
僕は映像を巻き戻し、初めから見直す。
部屋に連れられている時は映像がブレブレなのでよく見えないが、治療中のベイリーズの顔は真剣そのものだった。
それ以外の時間も、僕が気を失っている間はいつものニコニコ顔をしていなかった。
あのベイリーズが、他人の……僕の心配をしていた、とでも?
心がなぜかじわっと温まるような感覚がしたが、頭を横に振って邪な考えを振り払う。
……ふざけたことを考えるのは辞めよう。僕が今からしなければならないことは公安と組織への連絡。
今日ベルモットと会う約束もしていたから、そっちの対応もしなければいけないのか。
まずは公安に連絡しようと携帯を手にした時、コンコンとドアがノックされる。
「入ってもいいですか?」
「どうぞ」
僕の返事を聞いたベイリーズは、扉を開けて部屋に入ってくる。
手には重湯を乗せたお盆を持ち、手首にはペットボトルやらが入っているビニール袋を掛けている。
「食べれそうでしたら食べてください。あと飲み物と薬です」
「ありがとうございます」
「じゃ」
「待ってください」
ベイリーズは渡す物は渡したという感じですぐに部屋から出て行こうとし、僕はもう少し居座ると思っていたので驚いてつい引き留めてしまった。
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9ねみ(プロフ) - カナデさん» ありがとうございます!やっぱり書くのすっごく楽しいので、無理せず頑張ります! (6月28日 16時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - わぁ!久しぶりの更新すっごく嬉しいです☺️これからも頑張ってください…ただ無理はなさらずご自愛ください…!!! (6月27日 18時) (レス) @page40 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 天理さん» お久しぶりになってしまって本当に申し訳ございません。無理せず頑張ります!かならず完結させますので、ぜひ最後まで……! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 理那さん» ありがとうございます!本当にありがとうございます!待たせてしまって本当に申し訳ございません。頑張ります……! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 鹽(しお)さん» 何度も本当に申し訳ございません。待っていてくださるというお言葉が本当に温かいです……。必ず完結までは持っていきますので、ぜひ長い目でこれからもよろしくお願いします! (6月27日 17時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2020年6月30日 21時