三代目死神が愛した＿＿。9【名探偵コナン×暗殺教室】

piece409‐‐脱走　新side ページ9

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　夜。今日はAの傍にいると周りに伝えてあるが、それを小さなアリバイに、私はとある場所へと向かう。
　湊は今外出中。10分は確実に戻らない。律さんもハッキングさせてもらい、監視カメラを一時的に停止。事態に気付かせないようにする。そして警備員には催眠ガスと、軽い記憶障害を起こさせるガスを吸わせ、眠ってもらった。


「……ぁ？」
「リミットは10分。この地図通りに進めば外へ出れる」


　彼を拘束している鎖を外しその場から離れる。完璧な変装を施していたため、彼は私が誰だか分からないまま、言われた通り防衛省から脱走していった。
　私はそれを気付かれないように追う。脱走した彼は防衛省から抜け出すと、真っ先にとある場所へと向かっていった。

　やはり……逃して正解だったようだ。

◇
　くっそ！ なんだ、なんだ、なんだ……！
　俺は組織の裏切者＿＿ベイリーズに見つからないようダッシュでその場から遠ざかる。

　組織の仕事を終えて、コンビニの帰り道。ただなんとなく人のいない道を歩いていたら、見てしまったのだ。
　ベイリーズが人を殺さず何かで眠らせて、引き渡しているところを。

　誰かに言わないと……！ でも、いったい誰に！？ 俺は組織内の下っ端。幹部の連絡先なんか持っちゃいねぇ！ そもそもっ、ジンのお気に入りであるベイリーズが裏切者だなんて話、誰が信じてくれる！？

　家に帰って戸締りをしっかりとし、布団を頭から被って連絡先をザっと見る。恐らくバレていないが、ベイリーズは組織に加入してすぐ幹部になった人間。恐ろしい奴であることには変わりない。いや、でもあの行動はきっと裏切者……。だとしたら殺されることはないよな！？

　ビビりすぎかと思えば、とある男の名前で画面を止めた。組織に入り立ての時に連絡先を交換し、今では幹部になっていた男……。コードネームは確か……。


「ピ、ピンガ！」
『……あ？ 誰だてめぇ』
「覚えてない、よな……。いや、そんなのどうでもいい。ラムと連絡取れるだろ！？ 伝えてくれ……！ ベイリーズは、裏切者だ！」


　焦って拙い言葉にはなってしまったが、ちゃんと状況を説明すると、ピンガは『ラムに伝える』と最後に言って通話を切った。
　ピンガは確か、ジンへの対抗心がすごく、他人を蹴落としてまで上に上り詰める人間だと聞いたことがある。
　下っ端の、覚えられてすらいない俺の話を最後まで聞いてくれたのは、それが理由だろう。




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