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なんやかんや巻き込まれたが、結局あの後村松と小倉さんは意気投合し、蚊帳の外になった私達はお会計を済ませるとお店を後にした。
お店を出た後、友達とご飯に来た時には「おいしかった。また行きたいね」とか話すだろうけど、今は警戒されている身。余計な会話は挟まず、私は全力で協力するのみだ。
「すみません、巻き込まれるような形になって……。どうぞ」
人通りが少ない路地に入ったところで目をつむり、両手首を合わせて安室さんに差し出す。
大通りじゃなくてわざわざ小道に入ったのはそういうことだろう。
「……なんのつもりだ？」
「お店で何も話せなかったでしょう？ 腹も満たされたことだし、どこへでも好きなところへ連れて行ってください」
しばらく何の音もせず、降谷さんが警戒しているのが目を瞑っていても伝わってくる。
気絶させられる可能性もあるけど、全部受け入れて身を任せよう。……死ぬことはないと思う。多分。
そう覚悟を決めたのだが、ザっと歩み寄ってくる足音に体が硬直する。少し……怖いんだな。身を委ねるというのはこういうことか。
何をされても抵抗はしないようにと体から力を抜いた途端、顎をくいっと上げられ、柔らかく温かい感触が唇に触れた。
びっくりして目を開けるときれいな青色の目。獲物を捕らえたような鋭い目つきに、全身の力が抜けてしまう。恥ずかしい言い方に変えると腰が抜けてしまった。
膝からガクッとなった私を、降谷さんはすかさず腰に手を回し引き寄せる。
「まっ……」
「オーバーリアクションすぎないか？ 初めてじゃないだろうに」
「そ、んなこと……言われたって！ わたし、こんな……わけ、わかんなっ……ぃ。目回る……」
「……それが演技だとしたら恐ろしい女だな。今日はもう時間がないから、本名だけでも教えてくれないか？」
自分の足で立ち直すのを確認すると、降谷さんはサッと離れ向き合う。
本名は絶対にダメ。殺崎Aは隠し通さなければならない。
「私が渡せるのは組織の情報のみです」
「……両親は日本人か？」
聞かないでって言ってるのにぃ……。まぁそれくらい構わないか。
「さぁ……分かりません。捨て子なので」
降谷さんは「そうか」と呟くと、それ以上は聞かずに歩き出した。
両親ねぇ。考えたこともないし興味もないわ。
……ただ少し、少しだけ。‘家族’というものに憧れる。
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9ねみ(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます！文章の書き方など褒めて頂いて嬉しい限りです……！ありがとうございます！のろのろ更新続いてしまっていますが、最後まで楽しんでください！ (3月4日 12時) (
レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - あまりに面白くて昨日と今日で一気読みしてしまいました！文章の書き方、心情描写、展開に至るまで全てが大好きです！実を言うとコナンに関してはにわか知識しか持ち合わせていないのですがこの作品を読んで原作に興味が湧いてきました！素敵な作品ありがとうございます (2月11日 9時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 聖奈さん» 聖奈さんありがとうございます！お待たせいたしました！これからも楽しんでいただけるよう頑張ります！ (12月29日 20時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 好きです！！！ほんっとに面白い！この小説に出会えてよかったです、最新楽しみにしてます頑張ってください(^^) (12月9日 23時) (レス) @page5 id: fdcdb1e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - ますしんさん» ますしんさん、ありがとうございます！書き方については度々悩んでしまうので、高度なんて言っていただけるなんてとんでもない励みになります……！大変嬉しいコメントを頂けたので、楽しんでいただけるよう頑張ります！ (9月7日 1時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：9ねみ | 作成日時：2023年8月21日 22時
