piece436 降谷side ページ36
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15時38分。
誰かは分からないが、3階の爆弾を解体していた人物に上は大丈夫だと言われ、下に降りてきてしまった。
爆弾は小さいものだし、お客さんの避難もできている。
犯人の狙いだった蘭さんも無事コナン君といるし、被害は大きくならないだろう。
「コナン君、詩さんを見ていないか?」
「え、詩さん? 見てないよ」
「おかしいですね……」
蘭さんたちと一緒に出掛けていたという沖矢昴が上を見上げる。
詩さんも一緒にいたとは聞いていないが……。
沖矢昴は携帯を取り出し電話をかける。話の繋がり的におそらく詩さんだろう。
仮に中にいたとして、脱出せず何をしていたというんだ。……まさか、爆弾の解体か? 僕が傍にいなくても白のような動きをするんだな、彼女は。
「詩さん、無事脱出できましたか? ……なに?」
沖矢さんは一瞬にして険しい顔をし始める。彼女に……何かあったのか!?
「貸せ! 詩さん、今どこにいるんです!?」
『安室さんっ!? えへへ、屋上に出る手前で閉じ込められちゃったんですよね〜爆弾と一緒に!』
こんな時でもヘラヘラと盛永詩の演技を続ける彼女に少しイラっとしつつも、電話向こうの状況に聞き耳を立てる。
音が反響していることから本当に密室に取り残されているようだ。それと……今少し話声が聞こえたか?
時刻は15時39分。簡単な爆弾だから解除はもう終わっているだろう。建物が崩壊したときに爆発する恐れはあるが……。
「爆弾の解体は終わっていますよね? できるだけ離れ」
『あーや、終わってないんですよね……ってもうこんな時間!? もう切らなきゃ! 安室さんっ、あと一本、赤か黄色なんですけどどっち切ればいいですね!?』
何……?
『いや〜……本当に、すみません。これ爆発したら多分外にまで被害出ます。できるだけ人を遠ざけてって、早めに報告するべきでした』
彼女の声色は詩から徐々に素へと変わる。まさか本当に……!?
残り30秒。どちらかを切らなければ彼女は……。
赤か、黄色……!
『お願いします、降谷さん。選んでください』
僕の選択で彼女の生き死にが……。
彼女がいる上を見上げる瞬間、視界に沖矢昴が目に入った。
残り10秒。
「……黄色だ」
残り5秒。
赤井は、僕にしか殺せない。
残り、3秒。
「さようなら、降谷零さん」
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9ねみ(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます!文章の書き方など褒めて頂いて嬉しい限りです……!ありがとうございます!のろのろ更新続いてしまっていますが、最後まで楽しんでください! (3月4日 12時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - あまりに面白くて昨日と今日で一気読みしてしまいました!文章の書き方、心情描写、展開に至るまで全てが大好きです!実を言うとコナンに関してはにわか知識しか持ち合わせていないのですがこの作品を読んで原作に興味が湧いてきました!素敵な作品ありがとうございます (2月11日 9時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 聖奈さん» 聖奈さんありがとうございます!お待たせいたしました!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (12月29日 20時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 好きです!!!ほんっとに面白い!この小説に出会えてよかったです、最新楽しみにしてます頑張ってください(^^) (12月9日 23時) (レス) @page5 id: fdcdb1e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - ますしんさん» ますしんさん、ありがとうございます!書き方については度々悩んでしまうので、高度なんて言っていただけるなんてとんでもない励みになります……!大変嬉しいコメントを頂けたので、楽しんでいただけるよう頑張ります! (9月7日 1時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2023年8月21日 22時