piece425 ページ25
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このメンバーで寝泊まりってどうなんだと思ったが、以外にも楽しかった。
ジンの砕けた笑顔は見れなかったけど、なんとなく顔色は柔らかかった気がする。
全員お酒が入ってきた頃、私がベルモットに枕を投げつけたのをきっかけになぜか枕投げが始まったり、騒がしさに目を覚ましたウォッカと嫌がるジンも混ぜてトランプをしたり、普段の組織とは考えられないバカをしながら最高の夜を過ごした。
だがみんな、睡眠薬が入ったお酒を飲んだため、割と早い段階で眠りにつく。
私もそれに合わせて横になったが、1人だけ、カラカラと音を立ててベランダに行く人物がいた。
寝たいから睡眠薬飲ませたのかなとか思ったけど、まぁそんなわけないよね。
「バーボン」
「……おかしいですね。貴方にも入れたはずですが」
「入れた睡眠薬、家に置いてあるものを使ったでしょう? あの薬私もう完全に耐性ついちゃってるので効かないんですよ。便利ですよ? 自分に効かない薬があるの。すり替えとか試食試飲を求められても平気で摂取できるので」
「なるほど。確かに」
サーっと吹く風が髪をなびかせる。ずっと室内にいたために外の空気が心地いい。
バーボンは塀に肘を置いて外を眺め、私は塀に寄りかかって室内を見る。
ジンはいつも通り変わらない表情だが、ベルモットとウォッカは完全に気を抜いたような顔をしていた。ジンは表情筋固いんだろうなぁ。
目を瞑って夜風を堪能する。
……効かないと言ったが、久しぶりに摂取したせいか気を抜いた瞬間意識が持っていかれそうになった。
一瞬ガクンとなった体に力を入れ直す。
「楽しくなかったですか、今日」
「そんなわけないだろう」
「あ……そう、ですよね。すみません」
楽しい話をしようと思って放った言葉は、冷たく鋭い言葉で返ってきた。
当たり前だ。黒相手に何が“楽しくなかったですか”だよ。
相手は黒。どんなに親しくなろうとその事実は変わらない。彼らはとっ捕まえなきゃいけない存在。黒だから。白には……なれないのだから。
「楽しかったんですか?」
「……そんなわけないじゃないですか」
ベランダの塀に身を預けたままをズルズルと座り込み、体を丸め込む。
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9ねみ(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます!文章の書き方など褒めて頂いて嬉しい限りです……!ありがとうございます!のろのろ更新続いてしまっていますが、最後まで楽しんでください! (3月4日 12時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - あまりに面白くて昨日と今日で一気読みしてしまいました!文章の書き方、心情描写、展開に至るまで全てが大好きです!実を言うとコナンに関してはにわか知識しか持ち合わせていないのですがこの作品を読んで原作に興味が湧いてきました!素敵な作品ありがとうございます (2月11日 9時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 聖奈さん» 聖奈さんありがとうございます!お待たせいたしました!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (12月29日 20時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 好きです!!!ほんっとに面白い!この小説に出会えてよかったです、最新楽しみにしてます頑張ってください(^^) (12月9日 23時) (レス) @page5 id: fdcdb1e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - ますしんさん» ますしんさん、ありがとうございます!書き方については度々悩んでしまうので、高度なんて言っていただけるなんてとんでもない励みになります……!大変嬉しいコメントを頂けたので、楽しんでいただけるよう頑張ります! (9月7日 1時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2023年8月21日 22時