piece424 ページ24
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少し話をするために公園に寄ったとはいえ、この短時間で玄関を開けた瞬間からアルコールの匂いが鼻をつんざく。
部屋ではウォッカがぶっ倒れていた。
「……ウォッカ、寝てるのか?」
「いいえ? 潰れました」
「貴方が潰したの間違いでしょう? 腕相撲とかトランプとかで勝負して、負けた方がショットで飲む」
うわぁ……かわいそ。降谷さんいろんな勝負強そうだもんね。
どちらも介抱していないようだったので、水とビニール袋を持って来て楽な体制になるよう体を動かす。
「ワリィ……」
ウォッカは大人しく介抱され、水を飲みだした。
ずっとサングラスをしっぱなしだったので外すと、結構な童顔だった。かわいい目をしてるわけじゃないけど、今までの貫禄から考えると目元でウォッカはだいぶ印象が変わるタイプだったよう。
ジンはもちろん、ベルモットも見たことはあったのか、驚いているのは私とバーボンだけだった。
ジンも帽子とコートを脱ぎ再度寛ぎ始めたのを見て、私は4人分のスウェットをクローゼットから持ってくる。
「……なんでこんなもの準備してやがる」
「誰が泊りに来てもいいように予め準備していただけですよ。ベルモットはこれでサイズ合うか? 少し大きめの持ってきたんだが」
「気が利くのね。洗面所で着替えてくるわ。ついでにシャワー浴びてもいい?」
あーやべ、まだ鏡直してないや。
「鏡ないけどいいか?」
「鏡のないところに住んでるの? 不便じゃない?」
「いや、物理的にない……」
「ふっ……物理的にって。まだ直してなかったんですか?」
笑うな降谷さん。事実じゃん。
私の発言が気になったのかベルモットは奥に入り、ジンもお風呂場へ向かっていった。
「私は鏡なくても」
平気なんですよね。
眉を困らせながら笑って言おうとすると、降谷さんの顔が目の前にあり、唇に温かいものが触れた。
「〜〜ッ!?」
慌てて離れて降谷さんを見ると、ニヤッと口角を上げ人差し指を立てている。
遊ばれてる! ウォッカは……! よかった寝てる!
「どうしたベイリーズ」
「手が滑っちゃったんですよね」
戻ってきたジンに動揺している姿を一瞬見られたが、鏡のことと話をすり替えておいた。
ベルモットはそのままシャワーに入ったらしく、ジンもなんだかんだスウェットに着替えていた。
ちなみに全員グレーのスウェットだ。白準備しておけばよかった。面白いじゃん絶対。
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9ねみ(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます!文章の書き方など褒めて頂いて嬉しい限りです……!ありがとうございます!のろのろ更新続いてしまっていますが、最後まで楽しんでください! (3月4日 12時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - あまりに面白くて昨日と今日で一気読みしてしまいました!文章の書き方、心情描写、展開に至るまで全てが大好きです!実を言うとコナンに関してはにわか知識しか持ち合わせていないのですがこの作品を読んで原作に興味が湧いてきました!素敵な作品ありがとうございます (2月11日 9時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 聖奈さん» 聖奈さんありがとうございます!お待たせいたしました!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (12月29日 20時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 好きです!!!ほんっとに面白い!この小説に出会えてよかったです、最新楽しみにしてます頑張ってください(^^) (12月9日 23時) (レス) @page5 id: fdcdb1e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - ますしんさん» ますしんさん、ありがとうございます!書き方については度々悩んでしまうので、高度なんて言っていただけるなんてとんでもない励みになります……!大変嬉しいコメントを頂けたので、楽しんでいただけるよう頑張ります! (9月7日 1時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2023年8月21日 22時