piece403 ページ3
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殺されるかもしれない。
走馬灯が混じりながらも逃げ道を探していたが、降谷さんの殺気はスッと消え、鋭利も引き下げられていた。
「……分かった。いいだろう」
生き、延びた……?
そう思ったのも束の間、今度は頬にほんのり温もりを感じた。
降谷さんに手を添えられ、挙句顔が近付いてきている。
へ……?
この先起こりうる可能性を考え一瞬固まるが、固まったままだと本当にそれが起きてしまう。
慌てて首をグインと背け、ギリギリ降谷さんからのキスから逃れることが出来た。いや、本当にキスか? いや、キスしようとしてたよな? え?
「好きならいいんじゃないですか?」
そう言う降谷さんは妖美な笑みを浮かべる。
……違う。
「目瞑ってください」
そう言って今度は両頬を強く捕まれ逃げることはできない。
嫌、だ。
段々と近付いてくる顔に耐え切れずギュッと目を瞑ると同時に、下の方からギュルルルルという音が病室に響いた。
「あ、はは。お腹空きました。ラーメン食べたい。あと餃子」
運がいいんだか悪いんだか、そう言うとバーボンは呆れてため息を吐き、退いてくれた。
「当たり前だが、君の正体が判明しない以上完全に信用したわけじゃないからな」
「分かってますよ……。目隠しをされて連れていかれた先だとしても、私が持ってる情報は全部渡せます。まぁ組織とは利害の一致関係っていうだけなので大した情報は持ってませんが。あと! 私が好きなのは
「……後ほど詳しく聞こう。とりあえずラーメン食べに行くか」
そう誘われ、デートだなんて思ってしまった瞬間頬に熱が集まる。私の要望を叶えてくれようとしてくれたというだけでアホ程嬉しい。あと、再告白のようなものをしたのが恥ずかしい。
「それはわざとか? 何度か僕のハニトラに引っ掛かったり引っ掛からなかったりしていたよな」
「うるさいです」
「ほぉ。本当に
「殺しますよ」
「本当にそれが出来るならな」
「っ、……」
余裕そうな笑みを見せる降谷さんにイラっと来るのと同時に、今はもう素を見せてくれていると思うと何とも言えない嬉しさが私を襲う。
紅く火照った顔は暫く治らなそうだ。
というか、絶対降谷さん私の好意に気付いてたでしょ。
じゃなきゃこんなすんなり受け入れるはずがない。
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piece404‐‐ラーメン屋※ひかる様からのリクエスト話です→←piece402 〃
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9ねみ(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます!文章の書き方など褒めて頂いて嬉しい限りです……!ありがとうございます!のろのろ更新続いてしまっていますが、最後まで楽しんでください! (3月4日 12時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - あまりに面白くて昨日と今日で一気読みしてしまいました!文章の書き方、心情描写、展開に至るまで全てが大好きです!実を言うとコナンに関してはにわか知識しか持ち合わせていないのですがこの作品を読んで原作に興味が湧いてきました!素敵な作品ありがとうございます (2月11日 9時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 聖奈さん» 聖奈さんありがとうございます!お待たせいたしました!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (12月29日 20時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 好きです!!!ほんっとに面白い!この小説に出会えてよかったです、最新楽しみにしてます頑張ってください(^^) (12月9日 23時) (レス) @page5 id: fdcdb1e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - ますしんさん» ますしんさん、ありがとうございます!書き方については度々悩んでしまうので、高度なんて言っていただけるなんてとんでもない励みになります……!大変嬉しいコメントを頂けたので、楽しんでいただけるよう頑張ります! (9月7日 1時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2023年8月21日 22時