piece413 キュラソーside ページ13
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寮に戻ってくると、何やら医療班が忙しくしていた。
「お疲れ様」
「ありがとう。とりあえず命に別状はないわ」
治療を終えたのであろうShade7に、Shade5が飲み物を差し出す。純粋な男女の関係なんて私にはわからないけど、その様子はなんだか微笑ましい。
「あ、キュラソーさん、Shade6が3号室にいるから、様子見てきてもらってもいいですか? 赤井さんが運び込まれて落ち込んでて……」
「……ライが? ええ、わかったわ」
ライが運び込まれたとはどういうことだろうと疑問に思いながらも、病室に入る。
そこにはベッドに横たわるライと、それを心配そうな目で見つめるShade6がいた。確かShade6も元組織員で、NOCのライを招き入れた人物として疑われていたわね。
「容体は?」
「Shade12……」
「キュラソーでいいわよ」
「外で呼ぶ時呼びなれてないと困るじゃない。私のミスでみんなに迷惑をかけたくないし……。他の陰と比べて最前線で戦えないからこそ、小さなミスを犯したくないの」
戦闘を苦手とする医療班は、私とは違ってあまり表に出ない。万が一の時、逃げるのにも一苦労だからだ。それでも陰の一員として、後方支援は褒めるべき腕を持っている。
運び込まれた経緯を聞くと、運転中に首を絞められ事故をしたらしい。ライの首元にはうっすらと縄の跡があった。シートベルトをしていなかったのか外されたのか、車から放り出されるほどの事故だったようだ。
「Shade2には連絡したの?」
「今日死ぬわけじゃないなら今会う必要はないって言ってたわ」
「そう。怪我をしたのがベイリーズだったなら、新さんと湊さんは吹っ飛んで来そうね」
「うーん、どうだかな。結構薄情なところあるから、目を覚まさないだけならどこかに遊び行きそう」
私はまだ新さんと湊さんのことをよく知らないが、Shade6がそういうのならそうなんだろう。結構意外ね。心配して部屋の中をうろちょろ歩き回りそうだと思ったのに。
「明美……!? キュラソー……」
まだ麻酔が効いているから大丈夫だと油断していたせいで、目を覚ましたライと目が合った。
耐性で麻酔が常人より早く切れたのね……。どうする……Shade6も私もはっきりと認識されてしまった。いや、まだ意識が朦朧としているようにも見える。
「あなたはまだこちら側に来てはいけないわ」
やはりまだ意識がはっきりとしていないのか、首元をストンと叩くとライは再び気を失った。
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9ねみ(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます!文章の書き方など褒めて頂いて嬉しい限りです……!ありがとうございます!のろのろ更新続いてしまっていますが、最後まで楽しんでください! (3月4日 12時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - あまりに面白くて昨日と今日で一気読みしてしまいました!文章の書き方、心情描写、展開に至るまで全てが大好きです!実を言うとコナンに関してはにわか知識しか持ち合わせていないのですがこの作品を読んで原作に興味が湧いてきました!素敵な作品ありがとうございます (2月11日 9時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 聖奈さん» 聖奈さんありがとうございます!お待たせいたしました!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります! (12月29日 20時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
聖奈 - 好きです!!!ほんっとに面白い!この小説に出会えてよかったです、最新楽しみにしてます頑張ってください(^^) (12月9日 23時) (レス) @page5 id: fdcdb1e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - ますしんさん» ますしんさん、ありがとうございます!書き方については度々悩んでしまうので、高度なんて言っていただけるなんてとんでもない励みになります……!大変嬉しいコメントを頂けたので、楽しんでいただけるよう頑張ります! (9月7日 1時) (レス) id: 4b06e7d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2023年8月21日 22時