三代目死神が愛した＿＿。【名探偵コナン×暗殺教室】

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　木村は自販機で飲み物を買い、私に差し出す。それを受け取り、一気に半分くらいまでゴクゴクと飲み込んだ。
　木村は隣に腰掛け背中を擦ってくれる。おかげで大分落ち着いた。


「……ごめん、ありがとう」
「おう。具合悪い……感じじゃなかったよな。聞いてもいい？」
「……さっき、さ」


　話そうと思ったのだが、というか話したいのだが、言葉が喉に突っ掛かってうまく喋れない。
　木村は催促するわけでもなく黙って待っていてくれる。
　一度肺の酸素をすべて出すように大きく息を吐いた。


「さっき、公安の人がいたんだけど……」
「あ、俺も見た。会議室にいた人でしょ？」
「うん。なんか、その人が言ったことが頭で響いてさ、目瞑ったら、その……今まで殺した人の顔が……泣きながら、叫びながら、私の方に向かってくんの。怖かったとかじゃなくてさ……お前に、公安……いや、警察になる資格ないって言われてるみたいで」


　声に出して言ってみたが体は震えない。ただ、自分自身呆れているのか、笑いが込み上げてくる。
　木村も何と声を掛ければいいのか分からないみたいで、苦い顔をしている。
　それもそうだ。殺し屋だったのは過去の事だと言ったところで、人を殺した事があるというのは事実なのだから。

　私はため息ではなく、しっかりと息を吐いて、今できた決意をハッキリと口に出した。


「私、警察辞めようと思う」
「まっ……そこまでする必要ないだろ！ 負い目があるのは分かるけどさ……。烏間先生も言ってたじゃん！ 殺した以上の人を救えって！ ビッチ先生だってそれで防衛省にいるわけだし……」
「私が本当に公安に所属できたとして、あの会議室にいた人は先輩、もしくは上司になるわけじゃん。いや、あの人は必ず上に行く。
　例え全世界の人が私を許したとしても、あんな綺麗な心を持ってる人の傍で働くことなんかできない。あの人の傍にいたら、きっと私は……自分を殺すことになる」


　降谷さんが言ったあの言葉、公安警察としては普通のことだ。
　でもきっと、言ったのが降谷さんじゃなきゃ、警察を辞めようとまで思わなかった。




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