三代目死神が愛した＿＿。【名探偵コナン×暗殺教室】

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　通りすがりに、先程探せなかったズボンポケットや首元を見たが、膨らみがなかったのでUSBは所持していないだろう。


「ベルモット、バーボン落ち着いてください。もう抜け出しました」
『よかった……』
『さっきのは常務ですか？ 行動不能にしなかったんですか？』
「色々ありまして。常務が探していたのは私ではありませんし、姿も見られていないので放っておいても問題ないかと」
『各自もう少し探せ』
「了解」


　もう少し探せって言われてもなぁ。
　誰も所持してない、事務室にもない。あ、女を連れ込んでた部屋見てないや。
　私は部屋に戻り軽く中を見る。特に変わった様子はなく、施錠もされていなかったので、ここにUSBはなさそうだ。

　あれ？ そういえばあの常務……事務室に入って来た時ネクタイ着けてなかったけど、どこやったんだ？ この部屋にもないし……。
　まさか……！

　私はパーティー会場に戻り、社長の娘を探し始めたが見つからない。
　もしかしたら常務はネクタイにUSBを隠していたのかもしれない。そして社長令嬢がそれに気付き持って行った。


『一度戻って来い』


　1時間が経ち、ジンから戻って来いと指示が入る。
　仕方ない。もし社長令嬢が持っていたとしても、この会社のどこかにはいるんだ。必ず見つけられる。
　もしUSBが社長の手に渡り、中身を見たと分かれば間違いなく始末されてしまうだろう。中身を見られていないことを願うしかないか。

　駐車場に戻れば、ちょうどベルモットとバーボンも戻ったらしく、車に乗ろうとしていた。
　私も乗ろうと車に近付いた時、先の方に人影が見えた。

　スーツを着て帽子を目深に被った人。口元だけ見える顔、身長、立ち振る舞い。探していた社長令嬢だ。そしてそれに近付く……常務。
　私はすぐに駆け出した。
　2人は私から見て横に並び、お互い向かい合って対峙している。


「橋爪ぇようやく見つげぁっ！」


　社長令嬢の視界に入らないよう姿勢を低くし、常務の後ろを通る時に足を蹴り上げ、そのまま流れるように社長令嬢の後ろに回り込み、目を塞いだ。
　常務の体は宙を舞い、頭から地面に倒れ気を失った。少し嫌な音を立てたが気にしないでおこう。

　社長令嬢が抵抗する前にネクタイを捲ると、やはりUSBはあった。そのまま抜き取り、こちらを見ていた3人に車に入るようアイコンタクトを送る。
　姿が見えなくなったところで社長令嬢を解放し、車の陰に隠れながらジンの車に戻った。




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