三代目死神が愛した＿＿。【名探偵コナン×暗殺教室】

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　私はごく自然に、部屋に溶け込むように中に入る。
　それでも堂々と中にいるとバレてしまうので、部屋の隅の物陰に隠れる。


「くふふ……暑いんじゃないかい？ 服、脱ごうか」
「ん……ぅ」


　常務はスーツを脱ぎ、ネクタイを緩め、女の服を脱がし始める。
　その隙に、床へ捨てられたスーツのポケットを調べ、鍵を発見する。ご丁寧にそれぞれの鍵にどこの鍵か札が付いていた。事務室の鍵もしっかりある。

　この女性、どうしよう。
　初め嫌がってたけど、演技かもしれないし……。助けるべき？

　念のため少し様子を見ていると、常務の手が止まった。


「田中常務。ここまでくれば言い逃れはできませんよね。これはしっかりと父に報告させていただきます」
「ハメやがったなこのクソアマぁ！ ぁぐっあぁぁ！」


　女は常務の股間を蹴り上げた。
　わぁ、なんか大丈夫そ。

　女は服の下にネームカードを隠し持っていたらしく、そこには橋爪琴葉と書かれていた。
　橋爪……ここの会社の社長も橋爪だったな。
　そういえばさっき廊下で通り過ぎた時にアイコンタクトを取っていた。このためだったのか……ってことはこの人は社長の娘。
　さっき父に報告するって言ってたし、この常務、普段から何か問題があったんだろうな。

　女が部屋から出て行ったのに続き、私も部屋を出る。
　恐らくこの後常務は逆上するだろうから、鍵が無くなったことには気付かないだろう。

　常務の事務室まで来て部屋を開ける。そこまで広くないので探しやすそうだ。
　棚、机、パソコンデータ、1つずつ見落とすことなく調べる。


『副社長室、何も見つかりませんでした』
『こっちもよ。ベイリーズは？』
「まだ全部見れてませんが、恐らくないかと……」
「橋爪ぇ！ 出て来やがれ！ ここにいるのは分かってるんだ！」


　調べ続けていると、閉めていた扉が開いた。反射で机の影に隠れる。入ってきたのは常務だ。
　あー、鍵が無くなってるのに気付いて女がこっちにいると思ったのか。


『ベイリーズ！ 大丈夫！？』
『僕が向かいます！』
『心配ねぇ。ベルモットとバーボンは捜索を続けろ』
『何言ってるのジン！』


　インカム越しで何やら言い合ってるが、私はもう既に部屋から抜け出している。
　逆上し視野が狭くなっている人であれば、真横を通ったって気付かれない。




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