咲かない花と君 (ページ3)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:2,433 hit

＊ページ3

「えっと……まずは呼び出しちゃってごめんね。」
「大丈夫だって、謝らないで」

そんなに大事な事を言うつもりなのか、
と彼の謝罪から思った私。

「突然なんだけど、俺のサークルに入ってほしい。あと、
　好きです、付き合ってください」

90度に腰を曲げた彼は、どことなく緊張している感じがする。
なんともシンプルでベタな告白。シンプルが一番だよね、って変に納得しちゃった私は、
あまりにも恋愛経験が少ないと言うのだろうか。

ひとめぼれです、なんて追加で言われれば、そんな少女漫画的展開がまさか起きる筈の無いだろう
と思う私が居る。

その前に、彼は別のことが本題だと言う事を伝えたかった筈だ。

告白もしたかったけど、それよりも大事なのは、

「サークル？」
「そう、サークル。音楽を楽しむサークルみたいなのしたくて……、
　作詞作曲とかしてバンドしてみたいな、って。」

成る程、確かに彼が入学式で歌った時の声は素敵だった。

「でも、なんで私？」

告白のことは後回しで、

とりあえずサークルについて知った方が好都合だ。

サークルには私は所属していない。自分自身の時間に
費やしたかったからという簡潔な理由だ。

「Aさん……、国語、得意じゃん。作詞作曲とか、
　お願いしたくて。ギターも出来るって言ってたし……」

いつの日か、高校生時代の友人、名は阿部亮平がここの大学に入学すると聞いた時、
私は彼が心配だから一緒のところに行こうと誓った。

彼は顔がいい。勉強も得意だ。でも、何処からか湧き出るその
おっちょこちょいな場面が、心配で心配で堪らなかった。

因みに、亮平にその事を話した時、心配性なお母さんか、と
呆れられた。彼は、語彙力の幅が広い。